◆プロボクシング ▽WBA世界バンタム級(53・5キロ以下)タイトルマッチ12回戦 王者アントニオ・バルガス―同級2位・比嘉大吾(7月30日、横浜BUNTAI)
トリプル世界戦の前日計量が29日、横浜市内のホテルで行われた。元WBC世界フライ級王者のWBA世界バンタム級2位・比嘉大吾(29)=志成=はリミットより100グラム軽い53・4キロ、同級王者アントニオ・バルガス(28)=米国=はリミットより400グラム軽い53・1キロで、ともに一発でクリア。
計量後のフェースオフは約20秒。別れ際、比嘉は両手で握手し、丁寧におじぎをした。「なんか(バルガスが)でかいなと思ったら、『俺そういえば靴履いてないな』と。あっちが早く準備していて、チャンピオンなので待たせてはいけないので」と裸足でのフェースオフを振り返り、「結構見つめ合ってる時間が長かったんで、恥ずかしくなった。やっぱフェースオフって恥ずかしいっすよね。見つめ合ってるんですよ。相手も多分嫌だったと思います。これが仕事なんですかね」と話した。
比嘉は昨年9月3日にWBO世界バンタム級王者・武居由樹(大橋)に挑戦し、0―3の判定負け。今年2月24日にはWBA同級王者・堤聖也(角海老宝石)に挑戦し、9回に両者がダウンを奪い合う激闘の末に引き分けた。
「三度目の正直」の世界挑戦。前日(28日)の会見では「負けたらそのまま引退会見しますから」と発言した。この日も改めて、「言っちゃったな、とかはないですよ。もうそのまま引退で。だってもう3回取れなかったら、もう4回目はないんで。その方が記者さんも、(引退会見のために)日にちを改めないで楽だと思うので」とジョークも交えながら挑戦者としては最後のリングとなることを明言した。
比嘉が勝てば2階級制覇を達成するとともに、18年4月に計量失格でWBC世界フライ級王座をはく奪されて以来7年3か月ぶりの世界王座獲得。高山勝成の5年11か月を上回り、国内最長ブランクでの世界王座返り咲きとなる。
今月20日には、元世界6階級制覇王者のマニー・パッキャオ(46)=フィリピン=が、約4年ぶりの復帰戦でWBC世界ウエルター級王者マリオ・バリオス(米国)に挑んで引き分け、46歳7か月での王座返り咲きまであと一歩に迫る健闘を見せた。
比嘉は、フィリピンの上院議員を務め大統領選にも出馬したパッキャオについて「(自分が)46歳なら、もう太って、どっかの田舎にいるんじゃないですか。すごいですよ」と語ると「議員もやってたんですよね。(自分は46歳で)ボクシングはできないですよね。
比嘉と11年間コンビを組む野木丈司トレーナー(65)は「過去最高の仕上がりと言ってもいいんじゃないかなと。今の時点では」と語り、「ジャブをちょっと試したいですね。二の手、三の手も考えてあります。大吾はディフェンスに徹すれば相当なテクニックがある。打つことにとらわれすぎなければ、そうそうはパンチを食わないんじゃないかなと思います」と王座返り咲きへの手応えを語った。
戦績は、バルガスが19勝(11KO)1敗1無効試合、比嘉が21勝(19KO)3敗2分け。
興行はU―NEXTでライブ配信される。