◆全国高校総体 女子サッカー決勝 常葉大橘2―3大商学園(2日、北海道・室蘭市日鋼スポーツパーク)

 初の決勝進出を果たした常葉大橘(東海1位)は、大商学園(近畿1位、大阪)に2―3で逆転負けを喫し、準優勝で終わった。1点リードの後半終了直前に同点に追いつかれると、延長後半に決勝ゴールを許し、力尽きた。

静岡県勢の大会3連覇もついえたが、強豪も下すなど快進撃で勝ち上がり、「王国」としてのプライドは示した。冬の全日本高校女子選手権で再び頂点を目指す。

 栄冠は目の前まで来ていた。2年連続で決勝に進出し、同じく初Vを目指していた大商学園。常葉大橘は2―1で迎えた35分ハーフの後半34分、世代別日本代表の経験もあるFW佐藤ももサロワンウエキ(3年)にこの日2点目となる同点弾を許した。主将のDF望月寧々(3年)は「自分たちに甘さが出て、最後の最後でやられてしまった」と唇をかんだ。

 仕切り直しとなった10分ハーフの延長戦も流れを取り戻せず、延長後半6分に決勝ゴールを献上。試合終了の笛に、選手たちはピッチで座り込んだ。落合史裕監督(35)は「ベストメンバーで戦えない苦しい大会だったが、誰かの思いを背負って戦ってきた分、実力以上のものを出せたと思う」と総括した。

 県決勝で左足甲を痛めたエースのFW松浦芽育子(3年)は準決勝、決勝で途中出場と出番は限定的で、DF上杉恵(3年)は7月31日の2回戦で右膝を負傷し、その後は欠場と台所事情は苦しかった。試合前の記念撮影では上杉のユニホームを持って臨むなど結束は強まっていた。

 意義ある大会だった。

総体2連覇中だった藤枝順心を県総体決勝で破り、東海総体でも優勝。全国では、準決勝で強豪の神村学園にPK戦の末に競り勝った。7年ぶりだった総体で県勢の3連覇は逃したものの、サッカー王国としての存在感を示した。望月寧は「優勝にあと一歩届かなかったけど、準優勝という歴史は残した」と涙をぬぐった。

 王座奪取へまだチャンスはある。年末年始の全日本高校女子選手権も控えており、望月寧は「残された大会で日本一になる。今大会はPKで勝ってきたので試合内容でも圧倒できるように…」と雪辱を誓った。北の大地でとどろかせた「橘」の名前を次なるステージでも残してみせる。

(飯塚 康博)

 〇・・・攻守の要を担ったMF小島あのん(3年)が悔し涙を流した。ボランチの位置からチームをコントロールし、前半27分には一時同点となるゴールも奪った。試合後はしばらく涙が止まらず、仲間やコーチらに肩を抱きかかえられた。「けがした選手もいたので絶対に優勝しなきゃいけなかったが、相手の方が気持ちが上回ったと思う」と言葉を絞り出し、「冬の大会に向かって全員が高め合わないといけない」と危機感を強めた。

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