J1東京Vの城福浩監督が5日、横浜FM戦(9日・味スタ)に向けた全体練習後に取材に応じ、海外移籍を前提とした準備のため、チームを離脱することになった日本代表DF綱島悠斗にエールを送った。
東京Vの下部組織から国士舘大を経て、23年に東京Vに入団した綱島は、本職はボランチながら、入団直後はなかなか出番が少なく、DF、時にはFWを務めることもあった。
その努力が実を結んだのは、昨季途中からチームが3バックに切り替わったタイミングだった。3バックの右が主戦場となると、身長188センチの体格を生かした対人と空中戦の強さを武器に、初のJ1だった昨季30試合2得点で6位と大躍進したチームで存在感を放った。
当然のように他クラブから注目される選手となったが、当初から綱島が意思表示していたのは「このクラブから海外にいきたい」ということだったという。「このクラブよりいい条件のところはありました。だけど、彼は自分の成長と、自分のプロセスをどう踏みたいかを考えた時に、このクラブから海外にいくと明言していた」と指揮官。成長速度を加速させた今季もここまで23試合で3得点1アシストをマーク。7月のE―1選手権では代表デビューも飾り、ついにベルギー1部アントワープへの移籍が決定的な状況となった。
ただ、シーズン中の移籍ということになるため「この時期に出て行くことを彼が一番気にしていた」と指揮官は言う。それでも、今までの日々の積み重ねを見てきらからこそ、夢への一歩を踏み出すように、強く背中を押した。
「出られない時の姿勢を見ていたからこそ、出られるようになって、代表に呼ばれてからも、その姿勢が全く変わらないからこそ、誰もおまえがこの時期に海外にいくことをネガティブに捉えているはずがない。そんなことを気にするよりも、このチームメイトの夢をもっとつないでいってほしいと伝えました。彼は(夏の移籍を)気にするほどの責任感がある選手。あれほど地道にやり続けた選手が、成功を勝ち得たとまだ言えるかどうか分からないけど、そこの入口に立てたことは非常に勇気付けられる。本当に応援したい」
ヴェルディから世界へを貫いた綱島が世界で活躍する姿を、城福監督は心待ちにしている。