大手芸能事務所「ケイダッシュ」の会長で6月30日に死去した川村龍夫(かわむら・たつお)さん(享年84)の通夜が5日、東京・護国寺の桂昌殿でしめやかに営まれた。所属タレントで50年以上の親交がある堺正章は「器の大きい人間。

我々タレントに夢を見させてくれた」と感謝。アントニオ猪木さんの入場テーマ曲「炎のファイター イノキ・ボンバイエ」が参列者を迎え、生前に関わったブルー・コメッツの「ブルーシャトー」が場内で流された。

 パワフルでエネルギッシュに芸能界を牽(けん)引した川村さんが突然、この世を去り、堺も驚きを隠しきれない。「相当、重い物が頭の上に落ちてきたような衝撃を受けました。まさか、こんなことが起こるとは夢にも思わなかった。まだまだ元気で芸能界を引っ張ってもらわないと困る人だったので、混乱している状況です」と声を絞り出した。

 事務所のトップと所属タレントとして、がっちりとタッグを組んで歩んできた。「人柄は非常に器の大きい人間。明日がどうなるか考えるより、夢を見させてくれた。その一方、数字には細かい。大きい部分と細かい部分が同居した摩訶(まか)不思議な人間でしたね」。最後に会ったのは亡くなる1週間前。

「レストランで偶然、会いましてね。『おー、堺!』という驚いた言い回しが耳に残っています」と別れを惜しんだ。

 「思い込みが激しい人でした」と川村さんの人間味あふれるエピソードも披露した。「10年くらい前に(川村さんが)大阪へ出張した帰りに『堺、一人で笑うのがもったいないから一緒に笑ってくれ』と電話が来たんです。新幹線で若手のマネジャーがふんぞり返って座っていたから、『そういう態度で座ってるんじゃないよ』とカツを入れたら、別人だった。『これ、面白い話だろ?』って言って一緒に笑いました」と明かし、報道陣を笑わせた。

 このエピソードを踏まえて「思い込みはすごく大事なこと。彼は事務所の中で思い込みをして、タレントもそれを信じて、伸びていった。そういうことをずっとやってきた。イメージが大事。無から有を生む。もっと新しい人を輝かせてもらたかったな」。

天国の川村さんには「日々闘ってましたから、ゆっくり休んでください」と語りかけた。

 笑顔が印象的な遺影は2016年、千葉・浦安で行われた三社祭で神輿(みこし)を担ぐ時に撮影したもの。祭壇は白を基調にダリア、バラ、ユリ、胡蝶蘭などが飾られた。芸能関係者などから贈られた供花は1000基に及んだ。

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