歌舞伎俳優の中村梅玉が6日、都内で9月歌舞伎公演「仮名手本忠臣蔵 二段目・九段目」(東京・新国立劇場中劇場、9月5~27日)の取材会に中村鴈治郎、中村扇雀と出席した。

 「菅原伝授手習鑑」「義経千本桜」と並ぶ歌舞伎3大名作の「仮名手本忠臣蔵」から上演機会の少ない二段目、九段目を、加古川家と大星家の家族の物語を中心に描く。

79歳にして加古川本蔵役に初役で挑む梅玉は「『忠臣蔵』は忠臣と大石内蔵助の蔵を合わせた言葉ですが、本蔵もある意味で忠臣。忠臣であることを大事に演じたい」と抱負を語った。

 歌舞伎を題材にした映画「国宝」(李相日監督)が大ヒットしていることについて、梅玉は「ヒットしていることは知っているが、見ていないので、どう描かれているのか分からない」。自身が2022年に人間国宝に認定されたことについては「素晴らしい文化、伝統文化である歌舞伎を後世に伝えていく。その担い手として責任を感じる。自分が人間国宝になって一番に思うのは、そういうことです」と明かした。

 「国宝」の原作者・吉田修一氏の執筆をサポートし、映画にも出演している鴈治郎は「『国宝』がヒットしているのは、うれしいこと。『仮名手本忠臣蔵』も見ていただきたい」。扇雀は映画を見たことを明かし、「3回泣きました。2人(吉沢亮、横浜流星)が演じた御曹司の役者と御曹司じゃない役者は空気感が出ていた。業界にそうじゃない人もいますが、僕は肯定派です。松竹は宣伝費ゼロで歌舞伎ファンを増やした。

東宝に足を向けて寝られない」と語った。

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