◆天皇杯▽ラウンド16(4回戦)広島3―0清水(6日・エディオンピースウイング広島)

 J1清水エスパルスはJ1広島に0―3で敗れ、6大会ぶりの8強入りを逃した。中3日でリーグ戦の同会場、同カードが控える中、主力を先発起用。

だが、前半アディショナルタイムに先制点を奪われると、後半も広島の勢いを止め切れずに失点を重ねた。公式戦の連勝は2でストップ。チームは7日に一時帰静し、10日のリーグ戦での“リベンジ”を目指す。

 8強の壁は想像以上に高かった。ほぼ現時点のベストメンバーといえる11人で挑んだ清水だが、J1で5位につける広島にはっきりとした力の差を見せつけられた。秋葉忠宏監督(49)は「リーグ戦にどう集中するか。0―3のままおめおめと帰るわけにはいかない」と10日の“第2戦”に視線を向けた。

 この日は米国による原爆投下から80年。会場は鳴り物による応援が禁止され、手拍子と声援に限定された。指揮官は試合前のミーティングで「一つのボールで人種を超えてリスペクトしあえる。フットボールを通じて平和を発信できる」と広島での“8・6”の意義を強調して臨んだ。

 公式戦は約3週間ぶり。

離脱していた故障者が復帰したことで6月1日のリーグC大阪戦以来となる基本布陣の4バックが採用された。「いい面と悪い面が両方出た」と指揮官。攻撃ではクロスから好機を迎える場面もあったが、守備ではギャップを突かれるシーンも散見し、シュート数は7―16。古巣にしてやられたDF住吉ジェラニレショーンは「守備で数的不利になることが多かった」と悔しさをあらわにした。

 数少ない収穫は7月末にJ1浦和から加入したFW高橋利樹(27)だ。後半11分からMF乾に代わってピッチへ。FW北川と2トップを組み、直後の12分にはゴール前に抜け出してファーストタッチでシュート。「最初なので思い切って狙った」一撃はGKの好セーブに阻まれたが、十分な存在感を見せた。秋葉監督も「いいオプションが増えた。起爆剤になってくれることを期待している」と高評価した。

 ルヴァン杯も敗退しており、残るはリーグ戦のみ。チームは7日に静岡に戻り、連戦に備える。

「落ち込むのは今日だけ」と住吉。プライドを懸けたオリジナル10対決で連敗は許されない。

(武藤 瑞基)

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