2026年度前期のNHK朝の連続テレビ小説「風、薫る」の追加キャストが8日に発表され、俳優・北村一輝の出演が明らかになった。見上愛演じるヒロイン・一ノ瀬りんの父親役で、北村は19年後期「スカーレット」以来2度目となる主人公の父親役だ。

 演じる一ノ瀬信右衛門(しんえもん)は、那須地域にあった小藩の元家老。明治維新前に家老職を辞して農家になり、役人への誘いがあっても断り続けている。穏やかな性格で、娘のりんと安に「自分で考えること」を教えてきた…というキャラクターだ。

 北村は「親という存在、その価値観や考え方は、想像以上に子どもの人生に大きな影響を与えるものだと、日々感じております。りんというすばらしい娘が、明治の激動の時代を強く生き抜いていけるよう、セリフを超えた何かを届けられたらと思っております」とコメント。「そして本作が皆さまの心に深く届くよう、誠実に作品と向き合ってまいります」とメッセージを寄せた。

 19年の「スカーレット」では、戸田恵梨香演じる川原喜美子の父親・川原常治役だった。北村は「スカーレットではかなり破天荒な父親役を演じさせていただきましたが、今回はその対極とも言える、芯のあるしっかりとした父親像に挑戦したいと考えております」と2度目のヒロイン父親役に意気込む。「朝ドラは日本国内にとどまらず、海外で暮らす多くの日本人にとっても、日本の日常や温かさを思い出させてくれる存在であり、まさに“日本の朝の顔”と呼ぶにふさわしい番組だと思っています」と感じているという。

 主人公の父を2度演じるのは異例だ。俳優の岡部たかしが24年前期「虎に翼」で伊藤沙莉演じたヒロイン・寅子の父である直言役を演じ、25年後期の「ばけばけ」ではトキ(髙石あかり)の父、司之介役に決まっている。

 114作目となる朝ドラ「風、薫る」は、まだ女性の職業が確立されていなかった明治時代に、正式に看護学を学んで「トレインドナース」となった、大関和さんと鈴木雅さんがモデル。

女優の見上愛と上坂(こうさか)樹里がダブルヒロインを務める。見上は不運が重なり、若くしてシングルマザーになった看護師・一ノ瀬りん役。上坂は、生まれてすぐに親に捨てられ、教会で育った大屋直美役。2人のヒロインが登場する作品は08年後期「だんだん」以来となる。

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