女優の見上愛と上坂(こうさか)樹里がダブルヒロインを務める、2026年度前期のNHK朝の連続テレビ小説「風、薫る」の追加キャストが8日に発表された。見上愛演じるヒロイン・一ノ瀬りんの両親役は水野美紀と北村一輝に決定。
水野はりんの母・一ノ瀬美津役。2019年後期「スカーレット」以来2度目の朝ドラとなる水野は「とてもうれしく思います」と参加を喜び、「生きる力とは何か、幸せとは何か、切実に己に問いかけながら、脚本を読み進めています。役の悲しみ、苦しみ、喪失、迷い、怒りを噛み締めながら、そんな中にでも訪れる幸せな一瞬一瞬、笑い合える瞬間の喜びを一つも取りこぼさないよう、視聴者の皆さんに届けたいと思っています」と意気込んだ。
水野と夫婦役を演じる北村は同じく「スカーレット」以来で、2度目となる主人公の父親役だ。一ノ瀬信右衛門(しんえもん)役で「スカーレットではかなり破天荒な父親役を演じさせていただきましたが、今回はその対極とも言える、芯のあるしっかりとした父親像に挑戦したいと考えております」とキャラクターを比較した。
りんの2歳年下の妹・一ノ瀬安(やす)役は、朝ドラ初出演の女優・早坂美海。早坂は「これまでも何度もオーディションに挑戦して、そのたびに悔しい思いをしてきました。だからこそ今回、『一ノ瀬安』という役に出会えたことが本当にうれしいです」と喜んだ。
りんの父・信右衛門に仕えていた元陪臣である中村義正役は、俳優の小林隆。「ゲゲゲの女房」「なつぞら」以来の朝ドラで、「7年ぶり3度目の朝ドラ出演を控え、胸が高鳴っております」とワクワク。演じる役柄については「近隣では珍しく、いち早く洋装を取り入れた人物である一方、言葉遣いは語尾に『ござる』が未だに残る “新しい時代・旧い時代、どっちの人間なんだ!?”とツッコミを入れたくなる人。
りんの幼なじみ・竹内虎太郎役は注目俳優の小林虎之介。「虎太郎は、心から純粋な男の子で、自分より相手を優先する優しさを持っています。それ故に自分の気持ちにブレーキを踏んでしまうことも多く、気付いたときには取り残されていたり。そんな虎太郎が朝ドラの中でどういう人生を送っていくのか、いちばん近いところで見守っていけたらなと思います」。今回が朝ドラ初出演だ。
その虎太郎の父・竹内之宣(ゆきのぶ)役は、ピン芸人のつぶやきシローに決定。2015年前期「まれ」以来2度目の朝ドラで、ドラマのモチーフとなる大関和さんと同じ栃木県の出身だ。「唯一栃木なまりが不安なので、方言指導を誰よりもみっちり受けたいと思います」と意気込んだ。
つぶやきシローと夫婦役を演じるのは、栃木県出身で「とちぎ未来大使」を務める女優・岩瀬顕子。虎太郎の母・竹内栄役を演じる。
りんの縁談相手・奥田亀吉役は、俳優の三浦貴大。
その亀吉の母・奥田貞役は根岸季衣。「ハイカラさん」「澪つくし」「天うらら」「梅ちゃん先生」「まれ」などに出演してきた朝ドラ常連女優だ。
舞台である栃木県出身の芸人の朝ドラ初参戦も決定した。お笑いトリオ「森三中」大島美幸は、ドラマのモチーフとなる大関和さんと同じ栃木県大田原市の出身。大田原の「ふるさと大使」を務めている。うなぎ店の女将役に決まり、「全力でやらせていただきますし、全力で宣伝させていただきます。 大田原市民の皆さんの喜ぶ顔が見られるのが、今から楽しみです」と期待した。
同じく栃木県出身で、双子のお笑いコンビ「ザ・たっち」のたくやとかずやも初の朝ドラ。兄のたくやは「『え?本当ですか?双子の登場人物いるんですか?』最初にこの出演依頼をいただいたときのリアクションです!」とオファーにびっくり。
お笑いトリオ「ネプチューン」原田泰造は牧師役に決まった。ヒロイン・大家直美(上坂樹里)を見守る吉江善作役で、原田は「まさか自分に牧師の役がくるなんて想像したこともありませんでした」と驚いた。朝ドラの出演は13年後期「ごちそうさん」以来2度目となる。
また和菓子店の女将には女優の義達祐未。「花子とアン」以来10年ぶりの朝ドラで「戸惑いながらもワクワクしています」とコメントした。
114作目となる朝ドラ「風、薫る」は、まだ女性の職業が確立されていなかった明治時代に、正式に看護学を学んで「トレインドナース」となった、大関和さんと鈴木雅さんがモデル。女優の見上愛と上坂(こうさか)樹里がダブルヒロインを務める。見上は不運が重なり、若くしてシングルマザーになった看護師・一ノ瀬りん役。上坂は、生まれてすぐに親に捨てられ、教会で育った大屋直美役。2人のヒロインが登場する作品は08年後期「だんだん」以来となる。