◆フィギュアスケート サマーカップ 最終日(12日、滋賀・木下カンセー・アイスアリーナ)

 女子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)3位の中井亜美(TOKIOインカラミ)が129・18点をマークし、合計192・84点で優勝した。逆転Vが決まった瞬間には涙を流し、「実感が湧いていない。

パニックになっている。急きょ作ったフリーでトリプルアクセル(3回転半)を着氷することができてうれしい」と答えた。

 冒頭にトリプルアクセルを降りると、会場から多くの拍手が送られた。3回転ルッツ―連続ダブルアクセルも着氷。3回転フリップではミスが出たが、まとめ上げた。

 今季シニアデビューした中井。当初、フリーは昨季から継続し「シンデレラ」を使用予定だった。ところが、6月に利用申請をしたところ許可が下りずに、変更を余儀なくされた。新たに「What a Wonderful World(この素晴らしき世界)」のプログラムで今季初戦に臨んでいた。

 新プログラムの完成度は「65%くらい」。宮本賢二氏と7月17、18日に振り入れを行ったばかり。ジャンプをはめ始めたのも直近2~3週間。

「(これまでは)合わないところがあったり失敗してしまうことが多かった。今回はジャンプの調子も良かったので、プログラム的にはまとめられた」とうなずいた。冒頭のトリプルアクセル、歌詞に合わせて踊るところが見どころだと話した。

 さらに大会直前の9日にはぎっくり腰になるアクシデントもあった。2日間は練習できておらず、11日のSPはぶっつけで跳ぶことに。「そこの不安が一番大きかった。今後ミスがあったときでも、リカバリーができる」とけがの功名となった。

 2月にミラノ・コルティナ五輪を控える今季。12月の全日本選手権で優勝ならば代表に即内定する。「今はやっと一歩進んだ感じ。自分の立ち位置だったり、どのくらいの評価がもらえるかわからなかったので、少し近づいた。点数的には納得いっていない部分もあるし、トリプルアクセルも2本入れたい。

もうちょっと練習を積まないと」と距離感を分析。逆境をはねのけた17歳が4年に一度の大舞台を狙う。

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