◆テニス ▽全米オープン(26日、米国・ニューヨーク)

 2018、20年優勝で、世界ランキング24位、第23シードの大坂なおみ(フリー)の第2章が幕を開けた。安定感を重視した新たなテニスで、1回戦は同106位のヒリート・ミネン(ベルギー)に6-3、6-4のストレート勝ち。

22年全豪オープン以来のシード復帰を勝利で飾った。2回戦では同47位のヘイリー・バプティスト(米国)と対戦する。

 マッチポイントで、相手のフォアがネットにかかると、しっかりとガッツポーズで、大坂はシード復帰を勝利で祝った。「とてもナーバスになった。でも、ここはホームのよう。来てくれて本当にありがとう」。

 大坂の新たな章が幕開けだ。第1章が「破壊」がテーマのパワーテニスだとすれば、第2章は「安定感」を軸に、攻守の切り替えで勝負する新たなテニスだ。ようやく、このスタイルを貫こうと覚悟を決めた。

 第1セット、3オールの第7ゲームだった。ミネンが放った絶妙のドロップショット。スタートが遅れた大坂だが走りに走った。

ようやく手を伸ばし、触った球が、相手のミスを誘った。

 これまでなら、ドロップショットを打たれた瞬間に、取ることはあきらめていただろう。しかし、現在の大坂は、必死で球を追う。少しでも多く返球し、チャンスにつなげる忍耐を覚えた。

 大坂と言えば、これまでの代名詞は、強烈なサーブとフォアハンド。力任せの破壊力だった。おもしろいデータがある。20年に優勝したときの最速サーブは、時速約193キロ。この日の最速は約182キロで、約10キロも遅い。それでも球種とコースを工夫し7本のエースを奪った。

 ただ、この日も、安定感を覚えた裏返しで、攻撃に迷う場面があった。ラケットを振り切れず凡ミスが生まれた。

しかし、それでも気持ちが切れることなく、丁寧に安定感を重視したプレーを展開。派手さはないが、じっくりとプレーを戻し勝ちきった姿に、大坂の新たなスタイルに対する覚悟を見た。

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