米国で5度目の防衛に成功したプロボクシングWBO女子世界スーパーフライ級(52・1キロ以下)王者・昼田瑞希(29)=三迫=が28日、東京・練馬区の所属ジムで帰国報告会見を行った。

 昼田は今月15日(日本時間16日)、米カリフォルニア州チュマッシュ・カジノ・リゾートで同級8位ナオミ・カルデナス(26)=メキシコ=を3―0の判定で下し、5度目の防衛に成功。

その後、現地で休養したあと、24日に帰国した。

 「無事に5回目の防衛戦を終えて、ケガ一つなく、元気に帰って来られました。時差ぼけもなく、メチャクチャ元気です」と笑顔で会見をスタートさせた昼田。三迫ジムの三迫貴志会長、加藤健太チーフトレーナーとともに会見の席に着いた王者は、目の前のベルトを見て「何回見てもほっとするし、よかったなと思う。映像も見返したりして、ホントによかったと、一人でしみじみしている時間もあります」と話した。

 2021年10月のプロデビュー以来、9連勝(2KO)を決めた昼田は、3戦連続で米国での防衛戦に勝利。挑戦者が前日計量で0・8ポンド(約363グラム)超過して計量失格。昼田が勝利の場合はタイトル防衛、カルデナスが勝利の場合はタイトル空位という条件で両陣営が合意して試合が実施された。相手の体重超過を聞いた時には「ありゃ、と思った」そうだが、「自分のやることだけに集中しようと思った。ベルトを守ることだけに集中」と冷静だった。今回で3戦連続で米国での防衛戦となったが、「4ラウンド目の、自分の動きが今までにはできなかったことが少し出せた。それが自身になりました。

自分で成長したと思った」と昼田。加藤トレーナーも「(ロサンゼルスで指導を受ける)マニー・ロブレス・トレーナーもチームも昼田のことを理解してくれていて、昼田自身も成長している。いいキャリアの付け方ができて、ステップアップしている。向こう(米国)のボクシングを取り入れながら、ベストな形で戦っている」と目を細めた。

 現地で最後のスパーリングに臨む8日朝に、「親友」の東洋太平洋スーパーフェザー級5位・神足(こうたり)茂利さん(M・T)が2日後の試合後に28歳で亡くなったと知らせが届いた。「人生で味わったことのない悲しみでした。でも、試合に集中しようと。やるべきことをやって勝つこと。シゲ(神足さん)も応援してくれているはず」と気持ちを立て直した。ロサンゼルスで合宿する機会が何度となく一緒になることがあり、「ある時、“ランニングデート”をしたんですが、その時、彼は『スーパースターになろうな』って。今回、無事に勝てて、スーパースターになりたいと思った。前を見て進むしかない。

命より大事な物はないとシゲに教えてもらった。シゲには感謝しかない」と改めて気持ちを強くした。

 昼田はアマチュアで29勝(13KO・RSC)16敗の成績を残し、21年にプロデビュー。22年12月にプロ4戦目でWBO女子世界スーパーフライ級王座を獲得した。米国で最も権威のある専門誌「ザ・リング」の認定王座も獲得している。次戦について、三迫会長は「年内にあと1試合を予定している。秋くらいにアメリカで防衛戦ができれば。これだけアクティブに防衛戦ができることに感謝している。もっと上を目指して向上している実感があるだろうから、これからも女子ボクシングの魅了を伝えていってほしい」とエール。昼田も「年4試合できることには感謝の気持ちでいっぱいだし、感謝以外にはない。自分は与えられた仕事をやるだけ。感謝の気持ちを示したい」と力を込めた。

10月にWBO総会(コロンビア)に出席し、5度防衛の記念リングを授与されることが決まっている。その後は11月にも防衛戦が予定されるが、帰国翌日の25日には早速、練習を再開したという昼田。すでにV6戦が始まっている。

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