ノルディックスキー・ジャンプ女子で18年平昌五輪銅メダルの高梨沙羅(クラレ)が30日、山形・蔵王で自然保護の啓発イベントを行った。

 自身が発起人となっている「JUMP for The Earth PROJECT」の一環として、高校生ら約70人とオオシラビソの稚樹の探索・採取・移植を行った。

6月に行った第1弾のゴミ拾いに続くイベントで、その際に地球温暖化への危機感を口にし、慣れ親しんだ蔵王の樹氷を守るため、植樹活動を行う考えも示していた。

 強い雨と風が容赦なく吹き付けても高梨の情熱は折れることはない。固い地盤に苦戦しながらもスコップで力いっぱい穴を掘り起こし、そこに丁寧に集まった人たちと14本の稚樹を移植した。高梨は「山形県、特に蔵王はゆかりのある土地だと思っていて親戚も住んでいるし、6月に一度、樹氷を視察させていただいた時に(枯れている)この光景をみてショックを受けたところがあった。これは守っていかないといけないなと思って植樹活動をみんなでやっていこうとアイデアを出せたことが、今の活動につながったかなと思います。小さなことだけどみんなで植樹をすることに意味があると思う。意識を持って続けていきたいなと思うし、意識を持った人の輪を広げることが大事かなと思います」と願った。

 イベントの目的は3つ。

 〈1〉次世代を担う子どもたちに自然を守る意識を、稚樹の移植という具体的な保全活動を通じて育てること。

 〈2〉蔵王の樹氷を形成するオオシラビソの植樹することで樹氷再生へ直接携わる。

 〈3〉スポーツと自然のつながりを通じて、多くの人に気候変動の危機を「自分ごと」として考え、行動するきっかけを届ける。

 高梨は海外を転戦しながら雪不足の現実を間近に見て、感じ、競技継続の危機感を抱き環境保全への意識を高めてきた。

高梨は「自分が植えた樹氷は見れるかは分からないですが、後世につなげていきたいものだなと思います。私は選手なのでその自然の中で競技をさせてもらってるというのが基盤にあるので、それをベースにいろんなことを活動していければ」と気持ちを高めた。

編集部おすすめ