プロレスリング・ノアの最強戦士決定戦「N―1 VICTORY 2025」が9月8日、後楽園ホールで開幕する。

 今年で7回目を迎える「N―1」は、全16選手が参戦。

8選手ずつがA、B両ブロックに分かれ、9・8後楽園の開幕戦から9・21栃木・ライトキューブ宇都宮大会まで公式戦を行い、9・23後楽園ホール大会で両ブロック1位選手による優勝決定戦を行う。

 今大会の注目は、初参戦するGHCヘビー級王者のKENTAだ。2000年8月の旗揚げメンバーでジュニアで一時代を築き13年1月にGHCヘビー級王座を奪取し最高峰を極め1年間、防衛を重ね団体を支えた。2014年4月にノアを退団。WWE、新日本プロレスを経て今年2月にノアへ復帰し7・20後楽園で拳王を破り、GHC王座を奪還した。8・16後楽園では「32分21秒」の激闘で丸藤正道を破り防衛に成功。王者としてN―1に参戦するKENTAにスポーツ報知は独占取材。11年ぶりに復帰した方舟で王者として最強決定リーグ戦に挑む心境を明かした。

 拳王からGHCを奪還し8・16後楽園で丸藤正道を破り初防衛に成功した。

 「チャンピオンになって防衛戦を丸藤さんとやって後楽園にたくさんお客さん来てくれたんで良かったなと思っています」

 後楽園は前売り券が完売し札止めとなる1598人の観衆が聖地を埋め尽くした。超満員になったことを意識するのは、やはりOZAWAだった。今年元日の日本武道館で清宮海斗を破りわずかデビュー2年あまりでGHCを奪取。

以来、後楽園大会は、ほとんどの大会が札止めとなる「OZAWA現象」が発生。昨年まで深刻な不入りの連続だった方舟は、完全に息を吹き返した。それだけに自身が王者となり、再び動員が下降線になれば、レスラーとしての存在価値、プライドが揺らいでしまう。

 「今年に入ってOZAWAがずっとGHCを持っていて、後楽園もずっと(観客が)入っていました。そこで僕が持った途端に集客が落ちるとチャンピオンとして…と思っていたので、今回はたくさん入ってくれて、そこは率直に良かったと思っています。で、何が言いたいかと言うと…集客の部分でもチャンピオンとして1人でも多くの人に来てもらうようにしていかないといけないなということなんです」

 観客動員は、トップレスラーにとって自らの評価になる。デビュー25年。トップを極めた男は、そのことが骨の髄まで分かっている。だからこそ、シビアに冷静に自らの役割を明かした。その上で今、ノアが活性化した理由をこう分析した。

 「僕がノアに戻ってくる前から試合自体はずっといい試合をやっていましたし、今の時代は、ファンを引きつける意味でSNS発信は欠かせないと思いますが、そこの部分も地道にやってましたよね。その中でやっぱり、今年の初めにOZAWAが出て来て。

きっかけというか…コントロールできない何かが必要だったんでしょうね。でも、これってなかなか理屈で…これをやればいいっていう定義なんてないし、同じことをやってもここは入ってこっちは入らないってあります。だからコントロールできない何か…なんですけど、OZAWAが入ってきて違う流れが…期待感ができたのは大きいと思います。ノアを見に来るきっかけには絶対なったと思うし、他の団体見ていた人もあの武道館で起きたことが『何が起きたんだ!』って引きつけられたと思うんですよ。そこでノアに行ってみようと思ったことは大きかったですよね。でもこれって作るものじゃないしOZAWAだってそうなると予想していたわけではないと思うし、だから読めない難しさも面白さもあるんですよね」

 そしてKENTA自身が2月に再入団したことも団体の活性化に拍車をかけた。

 「僕が帰ってきたことがどれぐらいか分からないですけど、そういう要素もあって。今、こうなっていると思うんで、きっかけになるポイントが何個かあってこうなっているんで。チャンピオンとして来てくれた人に対して来てよかったと思ってもらえるものをやり続けていくしかないんですよね」

 その上でOZAWAへのジェラシーも率直に明かした。

 「OZAWAが出て来たから、そうなってるとはいえ現役である以上、悔しさがあって当然です。それは僕だけじゃなくて他の選手も持ってるべき感情だと思います。その思いをこのN―1のリーグ戦でシングルが続くなかでわかりやすくOZAWAよりいい試合をするとか、発言、試合、コメント…すべての部分で注目、目立つことが大事だと思います。

OZAWAきっかけでノアを見始めた人もいると思うし僕が戻って『またノアを見るようになりました』って声も聞くから、僕らだけじゃなくて他の選手も面白いねって思ってもらえる活躍をすべての選手がしないといけない。その仲で僕は僕で会場に足を運んで応援してくれるファンに対して『ありがとう』という思いを試合で見せないといけない。今の時代は、僕を知らない世代もたくさんいるわけで、そういう人たちにも響くような試合をしないといけないんです」

 KENTAがノアを退団したのは2014年。11年もの時間が経過した。確かに自身が明かしたようにあのジュニア時代の鮮烈な名勝負、GHCヘビーを守り続けた息詰まる熱闘を「知らない」世代も多くいることは事実だ。

 「あのころとは時代が違うんでファンが求めているモノも当然、変わってきていると思います。12年前にGHCをとった時は、みんながノアをよくしたいって気持ちはあったと思うけど、『俺がやらなきゃ』っていう気持ちが強かったですよね。今はもちろん、チャンピオンとしての責任もあるけど拳王がYou Tubeで発信したり、清宮、OZAWAもいて『俺が…』っていう感じとは、その辺の気持ちは違いますよ」

 当時と現在。ファンがプロレスに求める意識の違いを感じている。

 「あれから時代も10何年を経て変わって…今の時代は、例えば悲壮感みたいなものを背負って『俺がやらなきゃ』でやっていたら今の時代にはあわないと思うんですよ。例えば、団体対抗戦も流行らない。今は、対抗するんじゃなくて、どこの団体とも絡んでみんながハッピーに協力してみんなで上がりましょうっていう感じだと思うんですよ。

その中でお客さんをいかにハッピーな気持ちになってもらって帰っていただけるのか…そこだと思うんですよね。ただ、それがいいのか悪いのかわからないんですが…」

 さらに続けた。

 「例えば、この間の僕と丸藤さんの試合を最近、プロレスを見始めたばかりのがライトな層が見たかったかどうかはわかりません。ただ、あの試合はタイトルマッチというシチュエーションがあって、そこに僕と丸藤さんの歴史をわかりやすく伝えられたとは思っています。ただ、これが今回のリーグ戦になると違う。公式戦は30分1本勝負ですから、短い時間でわかりやすさを伝えるのも重要になってくるはずです。タイトル戦とは戦い方は自ずと違ってきますよね。だって、今は映画でもドラマでも早送りで見る時代ですよね。じっくり見るよりそういう世代になっている。そこにあわせるわけじゃないけど多少、その辺も考えて挑もうと思っています」

 (福留 崇広)

 ◆N―1出場選手

 【Aブロック】

KENTA

清宮海斗

征矢学

佐々木憂流迦

藤田和之

遠藤哲哉

マサ北宮

ダガ

 【Bブロック】

ガレノ

丸藤正道

拳王

稲葉大樹

ジャック・モリス

晴斗希

リッキー・ナイトJr.

OZAWA

 ◆KENTAの公式戦日程

 ▼9・8 東京・後楽園ホール

KENTA VS 清宮海斗

 ▼9・11 岡山・岡山コンベンションセンター

KENTA VS 征矢学

 ▼9・13 広島・広島産業会館 東展示館

KENTA VS ダガ

 ▼9・14 福岡・アクロス福岡イベントホール

KENTA VS マサ北宮

 ▼9・17 エディオンアリーナ大阪第2競技場

KENTA VS 佐々木憂流迦

 ▼9・20 静岡・アクトシティ浜松

KENTA VS 藤田和之

 ▼9・21 栃木・ライトキューブ宇都宮

KENTA VS 遠藤哲哉

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