夏合宿特集の第2弾は学生3大駅伝で3年ぶりの3冠を目指す駒大を紹介する。8月は長野・野尻湖で全体の1次合宿を慣行。

勝負の駅伝シーズンへ主将の山川拓馬(4年)を中心に下級生も積極的にボリュームある練習をこなす。1年時に駒大初の3冠を経験した世代が最終学年となり、史上初の2度目の3冠への思いはより強い。大学駅伝界には「夏を制する者が箱根を制する」という格言がある。夏の底上げが、駒大3冠への鍵を握る。

 3冠達成を掲げ、駒大は熱い気持ちで夏を迎えた。アップダウンが激しく平らな道がほぼない1周約15キロの野尻湖。箱根駅伝で2度の山上り5区を経験した主将の山川も「きつい。平地だと思い込んで走っています…」と苦笑いするほどの過酷な環境だ。それでも選手らのモチベーションは日に日に上がる。野尻湖2周のメイン練習でも離れる選手はなく、順調に消化。藤田敦史監督(48)は「練習をより良いものにしようという雰囲気がある」とうなずいた。

 前半のトラックシーズンでは伊藤蒼唯が4月の学生個人選手権1万メートル優勝。

副主将の帰山侑大は5月の関東学生対校選手権で2部ハーフマラソンを制し、山川も6月の函館ハーフマラソンで1時間1分25秒の自己ベスト。佐藤圭汰は5月、世界最高峰のダイヤモンドリーグ(中国)に初参戦するなど4年生を中心にインパクトを残した。夏合宿に入る前、藤田監督は下半期のさらなる飛躍を見据え、「他の大学と競り合う状況をイメージしなさい」と声をかけた。

 選手たちの目の色は変わった。ライバル校を意識することで「実際にそういう場面になったときに、自信を持って戦える」と藤田監督。1次合宿では、駅伝シーズンへ向けた土台作りが大きなポイント。スタミナ強化中の1年生は積極的に距離を踏み、坂口雄哉(2年)ら下級生も山川の練習に食らいつくなど意欲的だ。山川も「自分がちゃんと駅伝を走るぞっていう雰囲気が出始めた」と胸を張った。

 駒大は2023年の第99回箱根駅伝で同校初の大学駅伝3冠を達成。当時の1年生が今年最上級生となるため、山川は「もう一回、3冠を経験したいっていう気持ちを持ってほしいからこそ、今年は絶対に3冠」と力を込める。3冠に輝いた22年度は田沢廉(現トヨタ自動車)、山野力(現九電工)ら当時の4年生が中心となり引き締まった雰囲気を作った。3大駅伝の初戦となる出雲駅伝前は「練習でも一つの大会が始まっているみたいな緊張感でした」と山川。

そのシーズンを経験したからこそ今年も「どんどん、バチバチになってほしい」と激しいチーム内の競争を望む。

 前回の箱根駅伝で7区区間新記録の佐藤、同6区2位の伊藤はけが明けで今回別メニューだが、既に練習は再開済み。二枚看板も完全復活すれば、盤石の態勢が整う。史上初2度目の3冠へ、「この調子でいけば狙えると思います」と山川主将が自信を口にすれば、帰山副主将も「そこは、ぶれずにやっていきたい」と呼応する。チームの目標はひとつ。過酷な夏が過ぎた頃、駒大はさらに強くなる。(手島 莉子)

 ◆23年箱根駅伝の駒大VTR 総合力の高さで史上5校目の学生駅伝3冠を達成した。絶対エース・田沢廉(4年)が2区で区間3位と懸命に粘走。4区の鈴木芽吹(3年)でトップに立つと、5区の山川拓馬(1年)がエースに呼応して青学大、中大に競り勝ち、往路を制覇。復路は6区で伊藤蒼唯(1年)がチームで唯一の区間賞を獲得すると、全区間5位以内の安定感ある走り。10時間47分11秒で2年ぶり8度目となる総合優勝を決めた。※学年は当時。

 ◆学生駅伝3冠 10月の出雲駅伝(6区間45・1キロ)、11月の全日本大学駅伝(8区間106・8キロ)、翌年1月の箱根駅伝(10区間217・1キロ)と距離が大きく異なり、約3か月に及ぶ3大会を制すことは至難の業。1990年度の大東大、2000年度の順大、10年度の早大、16年度の青学大、22年度の駒大の5校が達成しているが、2度達成した大学はない。

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