◆テニス 全米オープン第12日(4日、ニューヨーク、ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター)
2018、20年優勝で、世界ランキング24位、第23シードの大坂なおみ(27)=フリー=が逆転で敗れ、全米3度目、4大大会5度目の決勝進出を逃した。同9位でウィンブルドン準優勝のアマンダ・アニシモバ(24)=米国=に、日付けをまたぐ2時間56分の熱戦の末、7―6、6―7、3―6で敗れた。
大坂は、開閉式屋根が閉まった天井を見上げ、逆転での敗戦を受け入れた。安定性を重視し、攻守の切り替えを大切に闘った今大会6試合。世界最高の舞台で、新たなスタイルは十分に機能した。「自分ができることは、すべて出し切った。正直、悲しい気持ちはない」。いつも見せる悲しみの涙はなかった。
第2セットの6―5で自分のサーブなど、5年ぶりの決勝進出チャンスはあった。アニシモバが放つ低く滑る球を必死で拾い、返球し続けた。パワーだけでなく、多彩な球種とコースを組み合わせたサーブで15本のエースを奪った。最後は力尽きたが、新スタイルに迷いはない。「この敗退は、むしろ励みになる。
24年1月に産休から復帰した。当初は「思うように動けず、感覚も戻らなかった」という。それでも活躍するママ選手を見て「私だけ取り残されている」と感じてもいた。今回の快進撃で、大坂の新たなテニス人生が幕を開けたことだけは間違いない。