◆テニス ▽全米オープン(3日、米国・ニューヨーク)

 2018、20年優勝で、世界ランキング24位、第23シードの大坂なおみ(フリー)が、4大大会では2021年全豪、全米では5年ぶりの4強だ。昨年2回戦で敗れた同13位で第11シードのカロリナ・ムホバ(チェコ)に6-4、7-6のストレートで雪辱し、次戦は、決勝進出をかけ同9位で今年のウィンブルドン準優勝のアマンダ・アニシモバ(米国)と対戦する。

過去の対戦成績は大坂から2戦全敗だ。

 世界最大の2万人以上が入るセンターコートが、緊張で空気が張り詰めた。その中、2度目のマッチポイントでムホバのフォアがアウトになると、思わず大坂は、左手で目頭を押さえた。「(出産後)初めてのベスト4よ。オー・マイゴッド! 夢が現実になった」。

 昨年の2回戦でストレートで敗れ、過去2勝2敗の相手への雪辱だ。「とても難しい試合だった。昨年負けているし。でも、(自分が)泣いてないのが驚き」。その分、関係者席で声援を送った母環さんが、思わずバンザイをしながら涙を見せた。

 勝敗を分けたのは、第1セットの4オールからの大坂のプレーだ。自分のサービスゲームで15-30。

失えば、第10ゲームを相手がサービスゲームをキープし、先行されるピンチだった。しかし、決して焦らず、ミスを減らし、チャンスだけ攻める新たなスタイルで挽回。ゲームを奪うと、次ゲームで相手のサービスゲームを破り第1セットを先取。重圧をかけた。

 大坂は、準々決勝までの4試合で、落としたセットは3回戦のカサトキナ(オーストラリア)戦だけ。相手よりも半分ほどの合計5時間21分で勝ち上がってきた。対するムホバは、4試合すべてフルセット。大坂の倍近い合計10時間14分を戦ってきた。

 ムホバは、第1セットから何度も気にしていた左太ももを、第2セット前に治療。対する大坂の動きは衰えることがなかった。大坂は、相手に、過去同様、ドロップショットや逆回転のスライスで、前後上下に体の軸を動かされた。しかし、丁寧に、その緊張を、自らを律することで乗り越えた。

 決勝進出をかけた次戦は、アニシモバが相手だ。過去、2戦全敗。ともに2022年4大大会の対戦で、全豪3回戦はフルセット、全仏1回戦はストレートで、大坂は敗れている。しかし、過去、4度の4大大会準々決勝以降、全12試合は無敗の無双状態だ。13試合目のこの日も勝利。優勝に向け、V率100%の無敵ロードが開けている。

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