サントリーホールディングス(HD)は2日、新浪剛史会長(66)が1日付で辞任したと発表した。新浪氏が購入したサプリメントが大麻由来の成分を含み、違法の疑いがあるとして福岡県警の捜査対象となったため。
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新浪氏の行動力と、舌鋒(ぜっぽう)鋭い発言スタイルは数々の物議を醸してきた。2021年9月、経済同友会のセミナーで「45歳定年制」の導入を提言。「単なるリストラ」など生活を不安視する声が上がるなど、批判が殺到した。新型コロナウイルスの感染が広がった中、新たな経済成長のために、企業の生産性向上や人材の流動性を高める趣旨での発言だったが、後日、「定年という言葉の使用はまずかった」、「首切りということでは全くない」などと釈明した。
23年9月には、旧ジャニーズ事務所創業者・ジャニー喜多川氏の性加害問題を巡り「真摯に反省しているか大いに疑問だ」と批判。CM起用に関しても「所属タレントの起用を続けることは、チャイルド・アビューズ(子供への加害・虐待)を認めることであり、国際的には非常に批判の的になる」などと断罪した。こうした姿勢に追随する企業もあったが、無関係のタレントにまで責任があるかのような発言ともとらえられ、一部ファンは経済同友会などに脅迫電話をかけるなど、騒ぎになった。
一方で、元タレント中居正広氏の問題で、1月からフジテレビへの広告の出稿を取りやめていたが、ガバナンスが改善されたとして7月からのCMを再開を決断。飲料大手では先陣を切る形になった。
◆新浪 剛史(にいなみ・たけし)1959年1月30日、横浜市出身。66歳。
◆サントリーホールディングス(HD) 1899年に鳥井信治郎氏が創業した非上場企業。当初はワインを取り扱っていたが、国産ウイスキーやビールに加え、清涼飲料なども手がける総合食品メーカーとなった。4代目社長の佐治信忠氏までは創業家出身者が経営を担った。2014年にローソンの社長、会長を務めた新浪剛史氏を初めて外部からトップに招いた。24年12月期連結決算は売上高に当たる売上収益は3兆4179億円、純利益は1761億円。