◆車いすテニス ▽全米オープン(6日、米国・ニューヨーク)

 車いすテニスで、2024年パリ・パラリンピック男子シングルス金メダル、世界王者で19歳の小田凱人(東海理化)が、史上3人目の4大大会とパラリンピックすべてを制するシングルス生涯ゴールデンスラムの快挙を達成した。今大会のダブルス・ペアで、世界ランキング4位のグスタボ・フェルナンデス(アルゼンチン)に、4本のマッチポイントをはね返し、6-2、3-6、7-6の激戦を制し、史上初めて10代の若さで快挙を成し遂げた。

 うなった。ほえた。叫んだ。どちらに転ぶか分からない死闘で、自身の2本目のマッチポイントでフォアのリターンが決まると、小田は全身で喜びを爆発させた。両手で顔を覆い、コートで1回転すると、勢いで倒れ込んだ。3本連続、計4本のマッチポイントをはね返しての2時間12分の死闘を制した。

 優勝スピーチで、珍しく感極まった。英語のスピーチの後、日本語で、コーチらスタッフに「チームのみんな、ありがとうございました」と感謝を述べたが、その次の言葉が、声が震え出なかった。

 珍しく弱音が漏れた。「言わなかったけど、すごいプレッシャーがあった」。試合中も、何度もラケットを振り切れなかった場面があった。「パラリンピックが終わってちょうど1年。

これだという試合がなくて」。最大の目標を達成し、モチベーションの維持にも苦労した。

 しかし、「今日は、あのとき(パラリンピック決勝)の試合を超えたと思っている」。最終セットのタイブレイク、6-9から2本のマッチポイントを逃れたフォアとバックのストレート。「これは忘れられない」。勢いで大ピンチを乗り越えた。「この試合は生涯忘れない」。歴史的な快挙を、人生最高の「小田劇場」で演出した。

編集部おすすめ