◆車いすテニス ▽全米オープン(6日、米国・ニューヨーク)

 車いすテニスで、2024年パリ・パラリンピック単複2冠、世界女王の上地結衣(三井住友銀行)が、2017年以来の全米制覇を成し遂げた。世界ランキング3位の李暁輝(中国)に、第1セット0-6から、0-6、6-1、6-3と逆転し、今年、ウィンブルドンを除く4大大会3冠を自身8年ぶりに達成した。

 訪れた3本連続のマッチポイント。最初の1本目で、上地のバックのパスが相手の脇を抜け、思わず左手を握りしめた。「今の気持ちをうまく説明できない。何と言っても、最初を1ゲームも取れなかったんだから」と、優勝スピーチで思わず苦笑いだ。

 鮮やかな逆転劇だった。1ゲームも奪えず、完封された第1セットから、我慢して強打の相手からミスを引き出すことに成功。歴戦の女王は決してあきらめず、小柄な体格のハンデを、作戦やコースで補い、3冠につなげた。

 苦しい大会を乗り越えた。パリ・パラリンピック決勝で、フルセットの激闘で金メダルにつなげた相手、ディーデ・デフロート(オランダ)と準々決勝で当たった。デフロートは、パリ・パラ後、手術などで休養。今年5月の国別対抗戦ワールドチーム杯で復帰し、徐々に力を取り戻していた。

 そのデフロートに、上地は、2018年全米決勝で、6大会連続で負け続けた。

「万年2位」のうれしくないニックネームをつけられる悔しい大会だった。しかし、今大会で、最終セット0-3の劣勢から、逆転でデフロートを退けた。

 7月のウィンブルドン決勝で、王紫榮(中国)に敗れ、生涯ゴールデンスラム達成の快挙を逃した。その王に、今度は準決勝で当たった。しかし、「ハードコートでは負けない」と雪辱し、見事に決勝進出を果たした。そして、この日、鮮やかな逆転劇で、躍進著しい中国勢を返り討ちにした。

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