車いすテニスで前週の全米オープンを制し、4大大会とパラリンピック全てを制する生涯ゴールデンスラム(GS)を史上最年少の19歳で達成した小田凱人(ときと、東海理化)が9日、凱旋した。都内で記者会見に応じ「僕からしたらこれ(生涯GS)が一番のご褒美」と快挙の喜びを語った。

 会見の冒頭こう切り出した。「虹は雨の後でしか見られません。雨の中でも見られません。全てが過ぎ去った後に虹は見られます。僕にとってニューヨークでのできごとはそんなようなものでした。どれだけ結果を信じても、夢を願っても、人を愛しても、それが叶わないときや愛されないときもあると思います。自分を信じて人を愛するまでは。僕は自分のことを信じれなくなったことは一度もありません。自分を愛せなくなったこともありません。だから僕は虹を見られたんだと思っています」。全米オープン決勝での激闘を言葉に込めた。4度のマッチポイントを取られながらも、2本目のマッチポイントでフォアのリターンを決めた。

「普通に勝っても、ずっと晴れでも虹は見えない。雨が降って初めて虹が出てくるというのが伝えたかった」とメッセージに込められた思いを話した。

 決勝戦の記憶はほとんどない。「負けるかもっていうのは一瞬よぎったが、そこからはあんまり覚えていない」とゾーンに入っていたと振り返った。今年に入り、生涯GSを達成することを想像して取り組んできた。快挙にも「ビックリということはないが、勝ったことに対する喜びはある。イメージはしてたので、思い通り行ったかなと思う」とクールな表情を崩さなかった。

 今後の目標についても熱い思いを語った。「車いすじゃない人でも車いすテニスをスポーツとしてできる大会を開きたい。障害がない人でも、車いすテニスを競技としてできるよう普及していきたい」と話した。「小学校に賞金を全部つぎ込んでもやりたいっていう思いは強くあって、いつか小学校で一輪車の横にテニスの車いすが並んでほしい。10年くらいかかるかもしれないが、これからのスタンダードをつくっていきたい。

そうしたらもっと強い人が出てくるかも知れないし、そうなると僕ももっと燃えてくるかもしれない。世界が広がる気しかしていない」と自身のモチベーションにつなげる考えもある。

 次戦は今月末に東京・有明コロシアムで行われるジャパン・オープンを予定する。「スタジアムで決勝戦が行われるんで、パンパンになるくらい色んな人に見に来てほしい。ちょっとだけ休んでちょっとだけお菓子楽しんで練習もガンガンやって。もうちょい強くなれるんで、是非試合見に来てください」とメッセージを送った。さらに「東京では(国際大会が)一つしかないんで、自分で作っちゃおうかなと思ってる」と大きな野望も話した。試合内外での小田の活躍から今後も目が離せない。

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