【コロンバス(米オハイオ州)9日=金川誉】サッカー日本代表は米国代表に0―2で完敗した。6日のメキシコ戦から中2日で先発を総入れ替え(ターンオーバー)し、前半30分に失点。
敗北の瞬間、膝に手をついて疲労感をにじませた選手たちの姿が、森保ジャパンの現状を物語っていた。主力を並べて手応えを得たメキシコ戦から中2日で先発を総入れ替え。サブ組をW杯ホスト国の米国に腕試しさせたが完敗し、主力との差が顕在化した。キャプテンマークを巻き、3バックの左で先発したW杯4大会経験の38歳ベテランDF、長友の言葉が厳しい現実を物語っていた。
「W杯優勝という目標を掲げている以上は全員が同じレベルで戦えないといけない。個人でも個々が上を目指していかないと、やっぱりW杯優勝はできないなと改めて痛感させられた。正直、話にならない」
試合前の時点で、先発のうち国際Aマッチ出場10試合以下は8人。序盤は経験の少ない選手たちが思い切って持ち味を出す場面もあったが、徐々に相手にペースを握られた。前半30分にはDF望月が1対1でかわされクロスを上げられると、中央で長友が寄せきれずに先制を許した。
森保一監督(57)は長友を前半で代え、後半は本来センターバックのDF瀬古を左サイドバック(SB)に投入し、3バックから望月も右SBに下げた4バックに変更。しかし主導権は握れず、三笘、鎌田、南野を投入した直後に再びネットを揺らされた。リードを奪って冷静に試合を進めた米国を崩すことはできなかった。
26年大会に向け「目標は世界一」と掲げ、8大会連続W杯出場を決めた。決勝まで進めば1か月超の期間で最大8試合を戦う。主にメキシコ戦で先発した主力メンバーだけで戦い抜くには厳しく、そのために、この米国戦ではBチームの選手たちがテストされた。しかし確実にアピールしたと言えるのは、ファインセーブを連発したGK大迫のみだった。森保監督は「世界レベルのチームと対戦した時に本当に2、3チーム(分の選手層)での戦いができるかという部分の答えが出た」と、理想と現実のギャップを直視した。
本大会まで約9か月。北中米3か国大会の開催国2チームと、アウェーでぶつかり、現在地を知った。長友も「もうメンバー(総入れ替え)とか戦術どうこうではない。
◆メキシコ戦VTR 日本は優勢ながら得点を奪えず、スコアレスドロー。前半はハイプレスが効き、敵陣で球を奪い、速攻を仕掛けた。MF久保らのシュートはGKのセーブやブロックに遭った。後半もMF南野のボレーシュートが枠を外れるなど好機を逃した。終盤、FW上田を倒した相手が退場して数的優位に立ったが、打開できなかった。全体的に球際の争いで上回り、守備は安定していた。