女優の菊川怜(47)が映画「種まく旅人~醪(もろみ)のささやき~」(10月10日公開、篠原哲雄監督)で15年ぶりの映画出演を果たす。東大在学中に始めた芸能活動も今年で27年。
現在6、4、3歳の3人の子どもを育てるママでもある。17年に結婚したが、昨年11月に離婚。現在は親族の力も借りながら、専らワンオペで育児をしているという。学業と芸能活動を両立していた大学時代に匹敵するほどの忙しい日々。「常に急いで歩いているし、家の中でも早歩きというか、ほぼ走ってますね。時間に追われている」と明かし、「鬼ごっこが好きだから『一緒にやろう』と言われるけど、もう全然子どもの方が(足が)速いですね」と母親の顔ものぞかせる。
スカウトを受けて芸能界に入り、今もその道で走り続けている。子どもたちの将来については「まだ、だいぶ先のことで、その頃が想像できない」としながらも、芸能界入りを希望しても、その意思を否定するつもりはない。「何かやりたいというのには理由があるだろうから、その時は尊重したい」と本人にゆだねるつもりだ。
長男は、母の仕事にも少しずつ気づき始めている。「クイズ番組をたまたま目にしたようで、『なんでママ、1問しか正解できなかったの?』と、純粋な疑問として聞かれました。
一方で、子どもたちに芝居をしている姿はまだ見せていない。「種まく旅人」は、「大奥」(2010年公開、金子文紀監督)以来、15年ぶりの映画出演で、ママになってからは初めて。「もう(内容も)わかるのかな? 物づくりとかに興味はありそうです。ちょっと『ママの仕事こういうのだよ』って見せようかな」と声を弾ませた。
「種まく旅人」は公開まで1か月を切った。完成した作品を一足先に見たが、久々の映画とあってか、「自分のあの時のあの演技はどうだったかな、とか、ストーリーに没入してみる感じじゃなかった」と振り返り、「もう一回見て、物語の世界を単純に楽しみたい」と公開を心待ちにしている。
9月に入り、ロケ地・淡路島のある関西地方でPR活動も開始。大阪・関西万博のほか、テレビ、ラジオなどで映画の魅力を発信している。中高時代の友人から、グループLINEで「映画楽しみにしているね」とメッセージも届いた。
日本酒を愛する農林水産省の官僚を演じた。宴席で利き酒をするシーンでは、酒の特徴を説明する長ゼリフがある。
作品を通じて「目の前の食べ物に感謝して、いつまでも未来に続いてほしいなという思いが強くなった。こういった第一次産業を応援する映画は意義深いもので、そういう作品に携わらせていただくことでお役に立てているようでうれしい」と感謝した。
東大在学中にスカウトされたのがきっかけで、芸能界入りしてからすでに27年になる。「まさか自分が芸能界に入るとは…入ろうと想像したこともなかった」。桜蔭中高、東大と、エリートコースを歩んでいたが、当時は「数学の勉強は好きだったけど、将来何をしたいか、どういう職業があるかすらわからなかった」と夢も定まっていなかったという。受け身で始めた芸能活動だったが、「割とすぐ、芸能界で女優を目指していきたいという決意がすぐ固まった。大学時代は学生生活と二足のわらじだったけど、卒業したら一足のわらじで頑張れるなと思った」。
大学在学中は、学業との両立に苦労しながらも「仕事はとにかく全部やりたい。授業にもできる限り出たいと思っていた」。在籍していた建築学科では3か月に1回ほど設計課題が出た。
卒業後は女優業以外でも、情報番組の司会や、バラエティーなど多岐にわたって活動してきた。結婚後、仕事をセーブしていた時期もある。「つらかったと思うことはいっぱいあったと思うけど、やめようと思ったことはなかった。自信がなかったり、プレッシャーも多いけど、なぜかやめたいとは思わない。不思議ですよね」と笑った。
今後も「仕事をするからずっと学び、チャレンジし続けられるので、ずっと続けていきたい。元気でいられる秘けつだと思うから」と意欲。所属事務所・オスカープロモーションの先輩・草笛光子(91)の影響も大きいそうで「まだ現役でされているので励みになります」と語った。
演技の魅力について「その歳(とし)、その歳でできる役があると思う。
◆菊川 怜(きくかわ・れい)1978年2月28日、埼玉県生まれ。47歳。東大工学部建築学科卒。98年、オスカーグラビアグランプリ受賞。2001年公開の「ダブル・デセプション―共犯者―」に主演し映画デビュー。02~09年まで日本テレビ系「真相報道バンキシャ!」でキャスターを務める。12~17年にはフジテレビ系「とくダネ!」に出演。17年に実業家の穐田誉輝(あきた・よしてる)氏と結婚、24年11月に離婚。