東京世界陸上は13日、国立競技場で開幕する。1991年以来、34年ぶり2度目の東京開催に向け、12日は公式練習が行われた。

女子やり投げで2連覇を目指す、パリ五輪覇者の北口榛花(27)=JAL=は、自身のインスタグラムのアカウント名にもある「Giant Baby」と書かれたピンクの水玉模様が入った“マイやり”を持ち、何度も助走練習。チェコ人のダビド・セケラク・コーチと話し合いながら約1時間、入念に感触を確かめた。

 練習後には拠点とするチェコの報道陣の取材に応じ「自分の競技人生の中で、自国開催は最初で最後になると思う。最高の思い出を作りたい」と意気込んだ。金メダルへの重圧はかかるがこの日は、ポケモンや世界陸上公式マスコット「りくワン」の話題で盛り上がるなど終始リラックスした様子。「とても楽しみ。エンジョイしたい」と胸を躍らせた。

 今季は順風満帆ではなかった。7月初旬の日本選手権(国立)を右肘内側上顆炎(じょうかえん)の影響で欠場。約2か月ぶりの復帰戦だったダイヤモンドリーグ(DL)第13戦(8月20日、ローザンヌ)は50メートル93の最下位に終わった。それでも年間上位者で争う同28日のDLファイナル(チューリヒ)では60メートル72を記録。8月末には「60メートル以上投げられたことが自信になった。

目標は変わらず金メダル」と着実にコンディションを合わせている。セケラク・コーチも「肘は問題ない」と太鼓判を押した。

 女子やり投げは予選が19日、北口効果により最速でチケットが完売した決勝は20日に行われる。「毎日満員になることを期待している。皆さんに楽しんでもらいたい」。コロナ禍で、無観客だった東京五輪から4年。勝負強い日本のエースが、国立競技場を熱狂させる。(手島 莉子)

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