◆世界陸上 第1日(13日、国立競技場)

 今大会オープニング種目の男子35キロ競歩で、優勝候補だった川野将虎(旭化成)は18位に終わった。22年オレゴン大会で銀、23年ブダペスト大会で銅メダルを獲得していたが、日本勢初となる3大会連続表彰台とはならなかった。

勝木隼人(自衛隊体育学校)が銅メダルを獲得した。

 10キロを42分25秒で、勝木と川野が1、2位で通過。「やる気・元気・勝木」の愛称を持つ勝木はスタート直後、競技場内で飛び出し、積極的なレースを展開。優勝候補の川野も好調にレースを進めた。

 レースが動いたのは約27キロ。フルタド(エクアドル)が抜け出してトップへ。2位の川野はふらつく苦しい展開。しかし、その直後にフルタドに3回目の警告が出され、3分30秒の罰則を受けてペナルティーボックスへ。その間、川野が再び首位に立った。ただ、後ろからダンフィー(カナダ)が猛追。

 残り約5キロで抜かされると、徐々に後退し、残り約2キロでは勝木にも抜かされた。ラストはふらふらになりながら、なんとか18位でフィニッシュした。

レース後は深々と礼をしたが、直後に倒れ込んでけいれんを起こし、スタッフに抱きかかえられ車いすに乗せられ退場した。日本選手のゴールを待っていた銅メダルの勝木が、すぐさま駆け寄っていた。

 川野は昨年10月の日本選手権で2時間21分47秒の世界記録をマークしたが、今年3月にダンフィー、同5月にマッシモ・スタノ(イタリア)が塗り替えるなど、男子競歩界は激しい競争が続く。それでも、「これでさらに戦える」と今年は初めて海外合宿を行うなど、さらに気持ちを燃やして足を磨いてきた。

 同種目は午前8時スタート予定だったが、猛暑によるアスリートの健康と安全への影響を考慮して午前7時30分号砲となることが開幕2日前に発表された。

 ◇川野 将虎(かわの・まさとら)1998年10月23日、宮崎・日向市生まれ。26歳。静岡・御殿場南高1年時から競歩を始める。17年に東洋大進学。50キロは19年全日本高畠大会で3時間36分45秒の日本新記録で初優勝。21年に旭化成に入社。同年東京五輪6位入賞。

35キロ競歩は世界陸上で22年オレゴンで銀、23年ブダペストで銅メダル。昨年10月の日本選手権で世界記録(当時)を樹立した。名前の由来は寅(トラ)年生まれで、武将のように力強く育ってほしいと願って。177センチ、60キロ。

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