◆世界陸上 第1日(13日、国立競技場)
今大会オープニング種目の男子35キロ競歩で、勝木隼人(自衛隊体育学校)が自身初の表彰台となる銅メダルを獲得した。日本競歩勢6大会連続メダルは、勝木と、トップ集団を形成した川野将虎(旭化成)との“作戦会議”がもたらしたものだった。
レース前、移動のバスで隣になった2人は展開を相談。「8人は序盤で絞りたい」という意見で一致し勝木は「誰も出なかったら僕が(先頭で)引く」と宣言し、スターと直後から先頭で引っ張った。
蒸し暑さからか想定より早く集団はばらけ、10キロ過ぎに川野から「もう3人に絞れました」と言われて状況を把握でき「気持ちが楽になれた」。22年銀、23年銅と過去2度メダル獲得の後輩の存在は心強く「ここにいたらメダルを取れるんじゃないか」という期待感にもつながった。
一時はダンフィー、川野から離されたが、残り2キロで川野をかわして3位に浮上し銅メダルを獲得。国立競技場のトラックをガッツポーズしながら歩き「これがテレビで見てた光景か。いい夢としてすごく出てきそう」という喜びに浸ったのもつかの間、ゴール後に倒れ込んだ川野に真っ先に駆け寄った。「1人で取ったメダルじゃなくて、本当に、協力して取ったメダルだなと思います」との思いが表れた行動だった。