◆プロボクシング ▽WBA、WBC、IBF、WBO世界スーパーバンタム級(55・3キロ以下)タイトルマッチ12回戦 〇井上尚弥(判定)ムロジョン・アフマダリエフ●(14日、名古屋・IGアリーナ)

 スーパーバンタム級の世界4団体統一王者・井上尚弥(32)=大橋=が、ムロジョン・アフマダリエフ(30)=ウズベキスタン=を判定で下し、世界戦26連勝を決めた世界戦を会場のIGアリーナで観戦したWBC&IBF世界バンタム級(53・5キロ以下)統一王者・中谷潤人(27)=M・T=は15日、スポーツ報知の単独電話取材に応じた。来年5月、東京ドームでの対決ムードは日増しに高まっているが、KOをあえて狙わず、技術戦で相手を仕留めた井上のボクシングの幅の広さに闘志をたぎらせた。

 「尚弥選手は、テーマを持って戦っていたということが感じられた試合でした。しっかり自分をコントロールしながら、相手にダメージを与えることができていた」と中谷。試合は自身が戦うことを想定して、両者の状態などを気にしながら見ていたというが、井上が「効果的なパンチを出すためのポジショニングを自ら組み立てていた」ということに驚いたという。「どのパンチとか、どの角度から出せるかなど、より多くの引き出しを持っていた。多彩なパンチでした」と中谷。「相手が攻める気になっているところをあえて攻めさせ、そこから自分のパンチを当てていた」と指摘。「これは駆け引きにもなる」と分析すると同時に「色んなパンチのタイミングを見ることができて参考になった」と大きな“収穫”を口にした。

 かねてから話していたとおり、近く、保持している2本のベルトを返上する。井上戦を想定して、スーパーバンタム級への本格転向を目指す。転向に当たっては「自分自身の距離感を見つめ直しています」と中谷。加えて規定体重が1・8キロ増えるが「今、体重の増え具合がスムーズなので、増えた分をどう動かしていくか。スピードを落とさずにやっていかないといけない」と話した。

転向を前に、中谷の実績を考慮してか、すでにWBAではスーパーバンタム級で世界1位にランクされている。「昨日の試合ではWBA会長(ヒルベルト・メンドサ会長)の隣にいました。一緒に写真を撮らせていただきました」という。

 次戦は未定だが、井上が参戦を予定しているサウジアラビア(12月)での興行参戦が有力。対戦相手についても、井上のスパーリングパートナーをつとめたことがあるWBC8位のセバスチャン・エルナンデス(24)=メキシコ=が有力な候補に挙がっているという。IBFでも12位、WBOで10位という強豪で、かつてはルイス・ネリやルイス・アルベルト・ロペス(ともにメキシコ)ら元世界王者らとのスパーリング歴がある。次戦が決まれば、中谷は米国ロサンゼルスへ渡り、15歳から指導を受けてきたルディ・エルナンデス・トレーナーらとスーパーバンタム級転向へ向けた対策と強化を進めるプランだ。

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