◆全日本プロレス「第12回王道トーナメント」(15日、後楽園ホール)観衆1469(札止め)

 全日本プロレスは15日、後楽園ホールで「第12回王道トーナメント」準決勝・優勝決定戦を開催した。

 第1試合前に今月7日に敗血症のため21歳で亡くなった長尾一大心(ながお・たいしん)選手の追悼式を行った。

 会場の後楽園ホール展示場に長尾選手を偲ぶ献花台を設置。戦いの軌跡を表すパネル展示を行った。献花台は12月31日の代々木第2体育館大会までの全会場に設置する。また、10月29日の長尾選手のふるさと北海道釧路市での大会を追悼大会にすることを検討している。

 第4試合の8人タッグマッチで昨年10月22日に後楽園ホールで長尾選手のデビュー戦の相手を務めた井上凌が大森北斗、羆嵐、小藤将太と組んで、デイビーボーイ・スミス Jr.、“ミスター斉藤”土井成樹、黒潮 TOKYO ジャパン、立花誠吾と対戦した。試合は、9分58秒、土井が小藤を逆エビ固めでギブアップさせ敗れた。

 長尾選手よりデビューで2年先輩の井上は、バックステージで「長尾とは全日本プロレスの合宿所で去年の4月から一緒に住んで練習して、一緒にちゃんこ食べて…ほぼ、つきっきりじゃないですけど、僕が近くにいたんでいろいろ教えていたつもりなんですけど」と打ち明けると「僕的に長尾一大心という人間は強いと思ってて、みんなが思う以上に。だから今回のこともあったけど、長くはかかるけど、絶対帰ってくるって、絶対あいつは、また強くなって帰ってくると思っていたんで、悔しいです…」と言葉を詰まらせ「だけど、ここまで長尾は3か月、本当に頑張ってきたんで、僕も絶対絶対、長尾の存在忘れたりしないんで、心の中で長尾のことを止めて戦いたいと思います」と誓った。そして「最後に」と切り出すと「長尾!また会おう!じゃぁな!」と天国へメッセージを送った。

 さらにバックステージでは大森が「俺も正直言って実感はわいてない。あいつは常に笑顔だった。笑顔のあいつしか思い出せないから正直言って実感するまでには時間がかかる。

みんなあいつのことが好きだった」と長尾選手への思いを吐露した。その上で10日に横浜市内の斎場で営まれた火葬に「小藤が火葬の時に他団体なのに来てくれた。言うほど簡単なことじゃない。それをやってくれた小藤には北斗軍として全日本プロレスとして感謝している」とこの日、タッグパートナーをつとめた小藤へ感謝の言葉を送った。

 小藤は、今年5月18日の大田区総合体育館大会で長尾選手に一騎打ちで敗れた。この試合が長尾選手にとってシングルマッチ初勝利だった。バックステージで小藤は号泣し「俺はあいつの代わりにはなれないかもしれないけど、これからもあいつの永遠のライバルとして、あいつは俺の心の中で永遠に生き続ける。いつだって鼓舞してくれる存在、それが長尾一大心です」と声を震わせた。

 そして「全日本ファンのみなさん、そして全日本プロレスの人にひとつだけ聞きたいことがあります」と切り出すと「彼が愛したこの全日本プロレス、僕も愛していいですか?」と問いかけた。これに羆嵐が「いいよ。お前があいつの分も背負って戦っていくんだよ」と激励すると「これからもこの全日本プロレスで全力で戦っていきます」と誓った。

 ◆9・15後楽園ホール全成績

 ▼アジアタッグ選手権試合60分1本勝負

挑戦者組・○MUSASHI、吉岡世起(15分02秒 二天一流→体固め)王者組・青柳優馬、青柳亮生●

 ▼第2試合 王道トーナメント準決勝 時間無制限1本勝負

○宮原健斗(5分07秒 サムソンクラッチ)関本大介●

 ▼第3試合 王道トーナメント準決勝 時間無制限1本勝負

○本田竜輝(9分08秒 ファイナルベント→片エビ固め)綾部蓮●

 

 ▼第4試合 8人タッグマッチ 30分1本勝負

デイビーボーイ・スミス Jr.、○“ミスター斉藤”土井成樹、黒潮 TOKYO ジャパン、立花誠吾(9分58秒 逆エビ固め)大森北斗、羆嵐、井上凌、小藤将太●

 ▼第5試合 世界タッグ選手権試合前哨戦 バカの時代 vs HAVOC 6人タッグマッチ30分1本勝負

○鈴木秀樹、佐藤光留、真霜拳號(11分01秒 エルボースマッシュ→体固め)芦野祥太郎、ザイオン●、オデッセイ

 ▼第6試合 6人タッグマッチ30分1本勝負

○斉藤ジュン、安齊勇馬、ライジング HAYATO(11分57秒 ジャックハマー→片エビ固め)諏訪魔、田村男児●、野村直矢

 ▼メインイベント 王道トーナメント 決勝戦 時間無制限1本勝負

○宮原健斗(18分11秒 シャットダウンスープレックスホールド)本田竜輝●

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