大相撲秋場所2日目(15日・両国国技館)

 新小結・安青錦が初白星を挙げた。東前頭3枚目・熱海富士を取り直しの末、寄り切った。

10月には大阪に初の後援会が発足予定。高まる注目度も力に変え、初優勝を目指す。大関昇進に挑む関脇・若隆景は西前頭2枚目・王鵬を寄り切り、初白星。先場所途中休場の横綱・豊昇龍は小結・高安を寄り切り、横綱・大の里、大関・琴桜とともに2連勝とした。

 連日で恐縮だが、再び安青錦を論じたい。熱海富士との取り直しの一番は寄り切りでなんとか仕留めたが、熱海富士が引いてくれたから白星が転がり込んできたといえる。私は相手の下に潜り込んで下手ひねりや内無双を繰り出す安青錦の攻めに疑問を持っている。割れんばかりの大歓声は私の耳にも届いた。おもしろい相撲と強い相撲は違うということを認識してほしい。

 安青錦の最大の弱点は立ち合いであることは初日にコラムで書いた。相手を圧倒する鋭い立ち合いがあれば新たな風景が広がる。強い背筋と体幹を生かして相手の下に潜り込む攻めも今後の宿題だ。

理想は頭を付けて出し投げなどで崩す攻め。正攻法でないと幕内上位を戦い抜くことは難しい。幸いなことに師匠の安治川親方(元関脇・安美錦)という最高の参考資料が目の前にある。安青錦は大関以上を狙える逸材だと思っている。だからこそ2日連続の厳しい意見となった。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)

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