大相撲秋場所 2日目(15日、東京・両国国技館)

 新小結・安青錦が初白星を挙げた。東前頭3枚目・熱海富士を取り直しの末、寄り切った。

10月には大阪に初の後援会が発足予定。高まる注目度も力に変え、初優勝を目指す。大関昇進に挑む関脇・若隆景は西前頭2枚目・王鵬を寄り切り、初白星。先場所途中休場の横綱・豊昇龍は小結・高安を寄り切り、横綱・大の里、大関・琴桜とともに2連勝とした。

 安青錦が得意のひねり技を巧みに繰り出し、幕内最重量192キロの熱海富士を仕留めた。最初の一番は上手ひねりで沈めたが、物言いの末、同体取り直しとなった。二番目は「腰が重くてなかなか(ひねり技を)食わない。決めるよりも、崩して中に入る」と狙いを変えた。上手ひねりに相手が引いた瞬間、一気に前に出て寄り切り。体重差52キロをはね返し、三役として初勝利をつかんだ。

 新入幕から3場所連続で11勝し、年6場所制となった1958年以降初土俵で最速(付け出しは除く)となる所要12場所で新三役に昇進した。新たな役割で楽しみにしていたのが初日の協会あいさつ。

ウクライナから来日前、映像で見て憧れた舞台だった。八角理事長(元横綱・北勝海)と三役以上の力士で土俵に上がると、自身のしこ名の応援タオルが多く掲げられていた。「先場所と比べるとだいぶ増えた」と気合が入った。注目度の高まりは、取組前の幕内土俵入りでも実感している。

 2022年4月、母国のウクライナから戦禍を逃れて関西国際空港に来日した。縁の深い大阪に今場所後の10月、初の後援会が発足することも決まった。「皆さんの期待に応えられるように15日間、頑張りたい。東京にも後援会ができるように努力していきたい」。初日は横綱・大の里に完敗したが、立て直して1勝1敗。初賜杯へ、ここから加速する。(林 直史)

編集部おすすめ