米国で最も権威のあるボクシング専門メディア「THE RING」電子版は日本時間16日、米興行大手「トップランク」社のボブ・アラムCEO(93)が、スーパーバンタム級(55・3キロ以下)の世界4団体統一王者・井上尚弥(32)=大橋=を「世界最高のファイター」と認めたと報じた。

 リング誌はこの日までの最新のパウンド・フォー・パウンド(PFP、全階級を通じた最強ランキング)を発表。

1位にはサウル・“カネロ”・アルバレス(メキシコ)を判定で破り、スーパーミドル級(76・2キロ以下)の4団体統一王座を奪取したテレンス・クロフォード(米国)が1位に返り咲いた。2位は、これまで1位だったヘビー級の4団体統一王者オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)、3位は、2位だった井上尚弥となった。

 だが、リング誌では、来日して14日、名古屋市のIGアリーナで行われた、井上尚弥と前WBA暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)の世界戦を観戦したアラム氏のコメントを紹介。井上が「世界最強」という見出しをつけた記事を掲載した。

 記事ではウシクとクロフォードを推すには正当な理由があると両雄の実績を紹介したうえで、アラム氏も両者をよく知り、そして大いに敬意を払っていると続けた。だが「最高中の最高」を語る時、その座を日本の井上尚弥に譲るつもりはないとした。

 「この男こそ世界最高のファイターだ」―。アラム氏は14日の試合後、約1万6000人のファンを前に、井上を指さした。最強の挑戦者とうたわれたアフマダリエフに対し、あえてKOを狙わず、井上は自分の距離感で巧みに動き、アウトボクシングを展開、相手がラインを外れた瞬間に強烈な右を打ち込んだなどと記した。最高の席で観戦していたアラム氏は、PFP最強のスターがほとんど汗もかかない様子に笑みを浮かべたという。井上がより多様な能力を見せつけたことで、それが新たな次元へと引き上げたと、ムハマド・アリやシュガー・レイ・レナード、オスカー・デラホーヤなど数々のスーパースターを送り出した伝説のプロモーターは確信している。

 アラム氏は「井上がいかに完成されたファイターになったかを我々は目撃した。

ただの強打者ではなく、優れた戦略と素晴らしいフットワークを備えている。これこそが真の歴史的偉人に共通する資質だ」と絶賛した。

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