◆世界陸上 第4日(16日、国立競技場) 

 陸上男子110メートル障害で5位入賞の村竹ラシッド(JAL)の千葉・相模台小、松戸市立第一中、順大時代の陸上競技部同期・元女子三段跳びの加藤綾乃さん(24)がスポーツ報知の取材に応じ、当時のエピソードや村竹の強さなどを語った。(取材・構成=手島 莉子)

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 ともに小学生から陸上を始めたが、中学の部活はもっと本格的だった。

加藤さんは「苦楽を共にしてきました。たぶん当時は家族よりも多く時間を過ごしていたので同期は今でも集まりますし、仲が良いです」と笑顔で明かす。土日は一日練習が多く、年に1回ほど千葉・市原市に1泊2日の合宿もあった。「きつかったですが、先生もモチベーションを上げる言葉などをかけてくれて、みんなで最後までやりきっていました」と二人はそこで陸上の基礎を培った。

 当時の村竹は「すごい華奢」だったが、「小柄ながらに体を大きく走っていた印象。弱音を吐かずに、ただただ愚直に取り組んでいた印象があります」と熱心に練習に向かう姿勢に、当時主将だった加藤さんも学ぶことが多かった。

 高校は別だったが、大会などで顔を合わせると、「見るたび見るたび大きくなって筋肉がついて、『また大きくなった?』って都度言っていました」。高校の受験時期にともに順大に進学することがわかり、「また一緒にやれるんだなって思いましたし、どこまで伸びていくんだろうってワクワクも、一個人として感じました」と喜びがあった。

 村竹自身もターニングポイントとしている21年日本選手権。順大2年時だった。東京五輪の参加標準記録を突破していながら、決勝でまさかのフライング失格し同年の東京五輪代表を逃した。「本人の中では、私たちが計り知れないくらいの悔しさがあったと思います。

でも、外側に見せる立ち振る舞いとかはしない」。加藤さん自身も、その姿に刺激を受けた一人で「注目されてきてすごい重圧があったと思うんですけど、根に持っているまじめな部分。コツコツこなしている姿を毎日見ていました。頑張ろうって思わせてもらっていました」とうなずいた。

 昨年のパリ五輪は5位入賞。加藤さんは翌日仕事だったが深夜まで起きて観戦した。準決勝の試合は特にドキドキで「待っている時の緊張感と、決まった時のラシッドの安堵(あんど)感な表情を見て、本当に良かったなって思いました」。東京世界陸上はその感動を生で味わうため、現地観戦。「本人がメダルっていうのは言っていたと思うので、やっぱりメダルをとる姿は見たいですね」。絆の深い同期からエールも受けて、村竹は走った。

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