◆プロボクシング ▽WBC世界バンタム級(53・5キロ以下)王座決定戦12回戦 同級1位・那須川天心―同級2位・井上拓真(11月24日、トヨタアリーナ東京)

 プロボクシングWBC世界バンタム級1位・那須川天心(27)=帝拳=が、11月24日、東京都江東区の「TOYOTA ARENA TOKYO」で、WBC世界同級2位・井上拓真(29)=大橋=とWBC世界同級王座決定戦を行うことが発表された。プロ8戦目で頂点を狙う天心と、元WBA王者・拓真が再起をかけ激突する一戦。

本紙評論家の元WBC世界同級王者・山中慎介氏(42)は、フルラウンドの技術戦を予想した。

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 実力があり知名度もある両者の対決は、ファンにとって垂ぜんのカードが実現した形だ。まさか、天心と拓真が本当に対戦するとは思わなかった。私が知ったのは数日前で、本当に驚かされた。

 まずは天心から言うと、テクニックとスピードは一級品だ。ボクシングのキャリアという面ではまだ浅いが、デビューから2年半でよくこの舞台までたどり着いたと思う。努力のたまものだ。一方の拓真は、総合的に優れている。世界トップレベルのテクニックがありスピードもある。お互い優れている点は似ているのだが、スピード面では質の違うものを持ち合わせる。天心は瞬間、瞬間の速さを持ち、拓真は全体の動きがスピーディー。長所をどう相手にぶつけていくか。

2人の対戦を頭に思い描いているが、相当な技術戦になることを確信している。

 はっきり言って、結果は判定になると思う。天心は会見で「1ラウンドから行く」と宣言した。瞬発力があり、出入りが早い。遠い距離からジャブを打ち左につなげる。これに対し、拓真は過去の対戦からみてもサウスポーへの苦手意識はないが、戦う距離は天心よりも近い。相手の右をかいくぐり、いかに距離を詰められるかが、勝負のカギとなるだろう。

 この両者は一発のパンチで勝負を決めるタイプではなく、手数を出してどう主導権を握るか。実力的にもどちからが勝つか分からない。先にも述べたように、勝敗の行方は判定と言ったが、たとえKOでなくても、これだけワクワクさせるカードは滅多にない。(元WBC世界バンタム級王者・山中 慎介)

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