大相撲秋場所12日目(25日、東京・両国国技館)

 新小結・安青錦が、全勝だった横綱・豊昇龍を切り返しで破り、9勝3敗とした。

 * * * *

 安青錦は強かった。

立ち合いで豊昇龍の胸を突き刺し、引いたタイミングで足を送って左を深く差した。豊昇龍の強烈な投げにも足をかけて必死に耐えて、最後は切り返しで横綱をひっくり返した。安青錦にはあの大鵬さんや北の富士さんも苦しんだ幕内上位の壁が存在しないのかもしれない。

 私の人生訓はご存じの通り「まわり道」である。「まわり道をしたけれど夢が叶えばいいさ」との気持ちで相撲道に打ち込み、人生を全うしている。安青錦の前には1本の直線が伸びている。目を覚ましたら強くなっているという感触。場所を重ねる度に重厚感、スピード感、足腰の重さ、相撲のうまさが増している。

 私は豊昇龍に勝ったことによって来場所での大関取りがあり得ると思い始めた。高い数字と内容が求められるが、可能性は「安青錦の50%」と言っていいだろう。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)

編集部おすすめ