◆第29回シリウスS・G3(9月27日、阪神競馬場・ダート2000メートル、良)

 第29回シリウスS・G3が27日、阪神競馬場で行われ、単勝8番人気のホウオウルーレットがゴール前で差し切って重賞初勝利を飾った。半兄のオメガパフュームが18年に勝っており、レース史上初のきょうだい制覇を達成。

鞍上の岩田康は23、24年の岩田望に続く勝利で、父子での3連覇となった。1番人気のテーオーパスワード(松山)は7着に敗れた。

 ためにためた闘争心を一気に放出させた。直線入り口。岩田康とホウオウルーレットは後方から徐々に位置を押し上げると、馬群の間から視界が開ける。左ステッキを振り下ろし、全身を大きく使って手綱を押した。人馬一体の走りで馬群をこじ開けると、加速度はさらに増していく。トップスピードでゴール板を駆け抜けた瞬間、力強く左拳を握りしめた。

 51歳のベテランが満面の笑みで振り返る。「死んだふり作戦やね。いつも通りやけど」。道中は内ラチ沿いで最後方。

道中で他馬が動いた時も動じない。「道中でハミを取ってくれていたし、(前の馬が)下がってくるなとだけ思っていました」。手応えがあるからこその泰然自若。道中のロスを最小限に抑えた立ち回りで極上の末脚を引き出し、「直線でも手前を替えたし、力をつけていますよ」とねぎらった。

 23、24年に息子の望来が制したレースを勝ち、父子で3連覇。父子で3連覇以上は1984年のグレード制導入以降、横山父子の日経賞4連覇に続く2例目となる。そして、ホウオウルーレットにとっても半兄オメガパフュームが18年に勝っており、レース史上初のきょうだい制覇となった。「やっと賞金を加算できたので、今後はまたオーナーと相談します」と栗田調教師。ハマるか否か―。末脚勝負にかける遅咲きの個性派6歳馬が、ダート界に新風を吹き込むかもしれない。(山本 武志)

 ◆ホウオウルーレット 父ロージズインメイ、母オメガフレグランス(父ゴールドアリュール)。美浦・栗田徹厩舎所属の牡6歳。

北海道新ひだか町・岡田スタツドの生産。通算成績は25戦6勝。重賞初勝利。総獲得賞金は1億7030万8000円。馬主は小笹芳央氏。

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