人気アニメ「ドラえもん」の声などで知られ、昨年9月29日に90歳で亡くなった声優の大山のぶ代(おおやま・のぶよ 本名・山下羨代=やました・のぶよ)さんを偲(しの)ぶ会が29日、都内で行われ、参列した約250人が白菊を手向けた。
祭壇は、大山さんが好きだった紫(カーネーション、トルコキキョウ)と白(コチョウラン、スプレーマムなど4種)の約8000本の花。
発起人代表であいさつしたのは、大山さんと砂川啓介さん(17年死去、享年80)夫妻の結婚式の司会を務めた毒蝮三太夫(89)。家族ぐるみで旅行に行った際には「(大山さんが)『これいくら?』と言うのがドラえもんの声で、すぐ分かっちゃう」と“身バレ”。たちまち人だかりができ、大山さんは撮影や握手に応じていたと懐かしんだ。また、大山さんはかつて毒蝮と同い年であると年齢を3歳“サバ読み”。毒蝮はこの日も愛称の「ペコ」で呼び続けたが「本当は大山様とか言わなきゃいけないのに…絶大に影響を与えたお姉様」と恐縮した。
大山さんや、昨年7月に亡くなった小原乃梨子さん(のび太役)と共に「ドラえもん」で26年間歩んだ、しずかちゃん役の野村道子(87)は「(出演が)終わって21年もたっているけど、やっぱりドラえもんというのは偉大な作品だなと身にしみて感じている」としみじみ。しずかちゃんの声で「ペコちゃん、本当に長い間ありがとう。今も私、あなたに会いたいわ」とそっと呼びかけた。(中西 珠友)
水田わさび(2005年からドラえもんの声を担当)「新人の頃に共演をさせてもらっていたので、またもう一回マイクの前に立っている大山さんに会えた感覚。やっとごあいさつできて、胸もお腹もはち切れそうなくらい、いっぱい。
十朱幸代(親友)「家族のように近しくて、恋人のように一緒にいた。『海に行こう』『食事に行こう』と、ことあるごとに遊びに連れて行ってもらった。青春時代は彼女のおかげで楽しい時間を過ごせたし、また一緒に遊びたいな」
山田邦子(親友)「家までお邪魔したことがあって『大山さんがお母さんだったらいいのにな』と言ったら『邦子!』と返してくれて、うれしかった。30年前にぬか床をいただいてから、ずっとやっている。今日もかき混ぜてきた」
◆主な参列者 大原めぐみ、かかずゆみ、清水マリ、十朱幸代、毒蝮三太夫、野沢雅子、野村道子、羽佐間道夫、水田わさび、山田邦子(50音順、敬称略)