米大リーグのポストシーズン(PS)が、30日(日本時間10月1日)からスタートする。2年連続ワールドシリーズ(WS)制覇を狙うドジャース・大谷翔平投手(31)は、2戦先勝のワイルドカードシリーズ(WCS)でレッズと本拠地で対戦する。
初戦からエンジン全開で挑む。PS初戦のレッズ戦を前にした大谷は、気温20度を下回るやや肌寒いドジャースタジアムでの全体練習に参加。約30分間入念にキャッチボールを行って調整した。自己最多となる55号を放った28日のレギュラーシーズン最終戦後には「いい感覚でポストシーズンに向かえるのかなと思う」と手応えを口にしていたように、状態は上々だ。
米7年目でPS初出場だった昨季は、初戦となった地区シリーズ(S)第1戦の本拠地・パドレス戦で、0―3の2回2死一、二塁の2打席目に右翼へ同点3ラン。一方的になりかけていた流れを食い止め、逆転勝利につなげた。ド軍はこの一撃で勢いに乗ってWS制覇まで走り抜いた。自身初経験となるWCSは2戦先勝。各リーグ4チームが出場し、2戦先勝の現行制度になった22年以降、第1戦で勝利したチームが全て突破。逆に第1戦で敗れて突破した例はないだけに、今季もいきなりの大暴れに期待がかかる。
レッズも「大谷包囲網」を敷いてかかる。今季、ド軍はレ軍に5勝1敗も、大谷は25打数3安打の打率1割2分。ナ・リーグ14球団の対戦で唯一本塁打が出なかった。通算でも打率2割6厘、2本塁打は30球団の対戦でワーストと、データ上は最上級の難敵となる。
第1戦の先発はグリーン。マイナー時代に最速167キロをマークした剛腕で、通算7打数1安打と苦しめられてきた。グリーンは大谷との対戦へ「自分の特徴を理解して、自信を持って、自分のベストを尽くして投げたい」と剛速球勝負を宣言。Rソックスで2度のWS制覇に導いた66歳の名将フランコナ監督も大谷対策を「言えない。彼に伝えてしまうから」とけん制しながらも「腕が伸びた状態でスイングさせたら打球はどこまでも飛んでいく。走力もあって投手でもある。世代を代表する最高の選手だ」。厳しい内角攻めを示唆して不敵にほほ笑んだ。
初めて二刀流で出場するPSでもあり、1勝1敗で第3戦までもつれた場合には、大谷が先発することが濃厚だ。本塁打王を争っていながら、27日には欠場。自身のタイトルを諦めてまでも、コンディションを万全に整え、WSで再び頂点に立つことを渇望している。大舞台でこそ燃える男。頂点までの13勝を目指す戦いがスタートする。(安藤 宏太)
◆由伸第2戦先発決定 朗希はブルペン待機 ドジャースのロバーツ監督は、第1戦のスネルに続いて、第2戦に山本が先発することを明言した。地区優勝を決めた9月25日の敵地・Dバックス戦から中5日での登板となる。今季チーム最多12勝を挙げたエースはこの日、ブルペンで投球練習をして調整。「パワーアップした姿を10月に発揮できたらうれしく思う」と意気込んでいたように、2連覇へ向けて9月は月間防御率0・67と好調を維持している。
救援で2登板していずれも1回無失点だった佐々木朗希投手(23)はメンバー登録されてブルペン待機することが濃厚。
◆昨季のドジャースのPS初戦 ド軍はリーグ最高勝率だったためWCSには出場せず、地区Sから参戦。WCSでブレーブスを倒して勢いに乗るパドレスに対し、山本は初回、マチャドの2ランなどで3点を奪われた。それでもド軍は2回に大谷の3ランで同点。3回に山本がボガーツに2点二塁打を浴びてリードを許したが、4回に大谷の中前安打などで好機をつくり、T・ヘルナンデスの2点打などで逆転した。山本は3回5失点と崩れたが、4回から5投手が無失点リレー。7―5で逃げ切った。