学生3大駅伝開幕戦の出雲駅伝(13日、島根・出雲市=6区間45・1キロ)に登録された選手で、1万メートル自己ベスト(26分57秒30)最速を誇る米国アイビーリーグ選抜のグラハム・ブランクス(23)=ハーバード大=が、チーム25回目の出場で初の3位以内、あるいは初優勝を目指す思いを明かした。「自分の区間で最高のパフォーマンスを発揮し、チームの優勝や表彰台の可能性を最大限に高めたいと思います」などと熱く語った。

 アイビーリーグは米国北東部の8大学(ハーバード大、ブラウン大、コロンビア大、コーネル大、ダートマス大、ペンシルベニア大、プリンストン大、イェール大)の総称で、いずれも世界有数の名門私立大。出雲駅伝では1998年からアイビーリーグ選抜を招待し、台風による大会中止、新型コロナウイルスの影響を除き、今年で25回目の出場となる。

 今年のアイビーリーグ選抜のエースがブランクスだ。1万メートル自己ベスト記録は26分57秒30。日本記録(27分9秒80、塩尻和也)を大きく超える。日本学生記録(27分6秒88)を持つ東京国際大のリチャード・エティーリ(3年)を抑えて今大会NO1だ。米国代表として世界トップレベルの実力を持ち、昨年はパリ五輪5000メートルで9位、今年は東京世界陸上1万メートルで11位の成績を残した。

 「東京世界陸上で1万メートルを走れたことに感謝しています。このレースを走ることを1年前の2024年3月から目標に掲げて参加標準記録(27分0秒00)を追いかけ、今年3月に26分57秒30で走ることができました。夏の間は東京世界陸上に向けてトレーニングを積んできました。東京世界陸上は観客とスタジアムの雰囲気が素晴らしく、競技を大いに楽しみました。レースは思うような結果にはなりませんでしたが、2度目の世界大会決勝での経験を得て、将来に向けて前向きな気持ちです」

 トラック競技だけではなく、EKIDENへの思いは強い。

 「出雲駅伝への参加も非常に楽しみにしています。子どものころに地元で開催された小さな駅伝大会に出場してから駅伝に興味を持ちました。大学選びの際にコーチから『ハーバード大やアイビーリーグの大学に入学したら日本の本場の駅伝に出場するチャンスがあるよ』と言われたことは大学選びの大きな決め手の一つになりました」

 昨年、アイビーリーグ選抜は過去最高の5位と躍進。存在感を示した。今年は、ブランクスを中心に昨年以上の成績、さらに優勝を目指す。

 「自分の区間で最高のパフォーマンスを発揮し、チームの優勝や表彰台獲得の可能性を最大限に高めたいと思います。今年のチームは、非常に高い才能を持ち、かつ課題に向けて万全の準備を整えていると確信しています。個人の目標としては区間賞、あるいはタスキ渡し時点で先頭集団に食らいつくことです」

 出雲駅伝は6区間45・1キロの超スピード駅伝。昨季の出雲と全日本大学駅伝を制した国学院大、昨季の箱根駅伝優勝の青学大、昨季の3大駅伝すべて2位だった駒大、今季戦力が充実している中大や早大、駅伝巧者の創価大や帝京大を中心に激しい優勝争いが展開されそうだ。そして「大穴」がアイビーリーグ選抜だ。今季の大学駅伝も出雲からスリリングな戦いが期待される。

 現在、出雲駅伝の組織委員会では、アイビーリーグ選抜の挑戦を支援するクラウドファンディングを行っている。

今年は当初、航空券代や物価のため、招待出場が危ぶまれる事態が発生していたという。最終的に参加が決まったが、招待にかかる費用の一部を補填(ほてん)するため、クラウドファンディングを実施。第一目標は100万円(目標達成に必要な活動費用)、第二目標は300万円(チームの滞在費、移動費等)。期間は出雲駅伝の1週間後の10月20日まで。10月1日午前11時の時点で支援総額は31万5000円。公式サイトでは「出雲駅伝組織委員会はクラウドファンドで費用を補填(ほてん)してチームの招待を継続することで応援したいと考えます」と協力を呼びかけている。

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