◆米大リーグ ワイルドカードシリーズ第1戦 ドジャース10―5レッズ(30日、米カリフォルニア州ロサンゼルス=ドジャースタジアム)

 ドジャース・大谷翔平投手(31)が30日(日本時間10月1日)、ポストシーズン(PS)初戦のワイルドカードシリーズ(WCS)第1戦、本拠地・レッズ戦に「1番・DH」でフル出場し、初回先頭弾など2発でチームの快勝発進に貢献した。初回に、これまでの本塁打の中で最速の100・4マイル(約161・6キロ)の直球を右翼席に運ぶと、6回には今季自己最長タイとなる454フィート(約138メートル)の特大弾を放った。

2年連続のワールドシリーズ制覇へ向けて大谷が勢いづけた。

 一気にチームを乗せた。1回先頭。大谷が先発右腕・グリーンが力いっぱいに投げ込んだ内角の100・4マイル(約161・6キロ)を振り抜くと、打球速度117・7マイル(約189・4キロ)の弾丸ライナーがわずか4秒ほどで右翼席に着弾した。さらに、自身過去最速の球を捉えての本塁打。確信が持てず一塁の途中までは全力疾走し「100マイル(約161キロ)のインコースなので、なかなか狙っているからといって何本も打てる球ではない。スタートとしていい打席だったと思いますし、難しいボールでしたけど、いい反応ができたと思います」。PSでは昨年に続く2本目の初回先頭弾に珍しく自画自賛。少し興奮気味にいつもより速いスピードでダイヤモンドを一周した。

 次は特大弾だ。T・ヘルナンデスの2打席連続弾などで6―0となった6回2死一塁の第4打席。3番手右腕・フィリップスのスイーパーを捉えると、右中間席中段へ飛距離454フィート(約138メートル)のド派手なアーチ。

今季自身と球団で最長タイの一発に「比較的甘めでしたけど、ランナーのいる場面でしっかりと大きい追加点になった」とうなずき、日本勢では04年松井秀喜(ヤンキース)がリーグ優勝決定シリーズで記録して以来となるPS1試合2発に「どちらもよさがあるのかなと思ってる」と納得だった。

 昨季もPS初戦の地区シリーズ第1戦の本拠地・パドレス戦で0―3の2打席目に同点3ラン。PSチーム初得点をたたき出し、勢いに乗せて頂点まで駆け抜けた。22年にWCSが2戦先勝で各リーグ4チームが出場するようになった現行制度となって以降、すべて初戦で勝ったチームが突破。フィリーズとの地区シリーズ進出へ「突破率100%」となり「いいゲームだったと思いますし、攻撃も含めて最後まで攻められたのもよかった」。

 同僚が本塁打を放てば、場内で流れる音楽に合わせて手をたたいて笑顔を見せるなど、大舞台を楽しんでいるようだった。ロバーツ監督も大一番での大谷の活躍を「集中力がさらに研ぎ澄まされ、打撃の質も向上する。この球団に入団した理由は、このような試合で超人的な才能を発揮するためだ」と絶賛。試合前に「ドジャース夫人会」のインスタグラムでは、集合写真の中に、真美子夫人の姿もあった。頂点まではあと12勝。自らのバットで最高のスタートを切った。(安藤 宏太)

 〇…WCSが1勝1敗で第3戦にもつれた場合に先発予定の大谷は、試合前にブルペン入りし、カーブやスプリットなどを交えて20球を投げた。

第1戦に勝利したことで第3戦目が実施されずにフィリーズとの地区Sに進出する可能性もあるが、ロバーツ監督は「おそらく最初の2試合のどちらかだろう」と説明。連勝突破の場合は4日(日本時間5日)に敵地で行われる地区S第1戦の登板が濃厚だ。

 ◆大谷に聞く

 ―レギュラーシーズン終盤から好調を維持。

 「比較的、(ストライク)ゾーンの見極めもできているし、継続するのが難しいと思うので、明日以降、また自分の打席が送れれば」

 ―王手をかけて迎える第2戦へ向けて。

 「由伸もいい波に乗ってくれると思いますし、打線もその波に乗って初回からしっかり攻められれば」

 ―3戦目に登板予定だが、2戦で突破したらいつ投げる予定か。

 「いつでも行けるように準備はしてますし。監督含めて現場じゃないところに聞いてもらえれば、答えてもらえるんじゃないかな(笑)」

 ―短期決戦での先制点の重要性。

 「先発投手にとって、早い段階で援護があるというのは、余裕を持ってゾーンを攻められることにもつながる。みんなが少し心に余裕を持って、思い切って振れる場面もあって、気持ちとしてはいい攻撃ができる」

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