◆米大リーグ・ワイルドカードシリーズ第1戦 ヤンキース1―3レッドソックス(30日、米ニューヨーク州ニューヨーク=ヤンキースタジアム)

 米大リーグのポストシーズン(PS)が30日(日本時間10月1日)、両リーグのワイルドカードシリーズ(WCS)計4試合でスタートし、Rソックス・吉田正尚外野手(32)は敵地・ヤンキース戦で1点を追う7回1死二、三塁で代打で出場すると、初球を決勝の逆転2点適時打。勝利に貢献し、地区シリーズ進出に王手を掛けた。

 1球で十分だった。コンパクトに振り抜いた打球がセンターに抜けると、クールな吉田も思わず白い歯を見せた。0―1の7回1死二、三塁、絶好機に代打で登場。2番手右腕ウィーバーの真ん中高め直球に積極的にバットを出した。中前へ逆転の2点適時打。緊迫した投手戦の中での値千金の一打を「速い球が来るんじゃないかというイメージをしていた。勝ちに貢献できてすごくうれしい」とかみ締めた。

 試合後には球団が公式インスタグラムを更新。クラブハウス内で「Player of the Game(この試合のMVP)」と手書きされたブルペン電話のカバーを手に笑みを浮かべる吉田の姿をアップ。「Man of the hour(時の人)」とメッセージを添え、祝福した。米データサイト「オプタスタッツ」によれば、ポストシーズンで初打席初球でチームがリードを奪う適時打を打ったのは史上初だという。

 昨年10月の右肩手術の影響で出遅れ、今季は開幕から長期離脱。

球団の「外野手で復帰」という要望を受け入れ、フロリダ州のキャンプ施設に残留した。だがDH転向の主砲ディバースが6月に電撃移籍して状況は変化。7月上旬にメジャー復帰を果たした。55試合で打率2割6分6厘、4本塁打、26打点。苦しいシーズンを乗り越え、放った決勝打に「思い返すと、フロリダで若い子らと一緒にやったのも、今メジャーでいろいろ経験でき、これも一つの大きなビッグイベント。勝つために全てやってきている」と感慨深げだった。

 チームは永遠のライバル・ヤンキースとの初戦を制し、地区シリーズ進出に王手をかけた。メジャー3年目で初めて臨むポストシーズン。重圧かかる短期決戦で本領を発揮し続ける。

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