戸郷は静かにうなずきながらマウンドを降りた。5―0の5回2死一、二塁。
周囲を安心させたかった。杉内投手チーフコーチの「先発で1球1球漠然としているところがあるから全力で投げてほしい」という意図もあり、3回から救援登板。2イニング連続で先頭を出すも、腕を振って最速は150キロを計時した。2三振も奪い「中継ぎの大変さも知ったし、ある程度割り切りも大事だと思った」と手応えを口にした。
開幕投手を務めたが2度の2軍降格を経験。8勝を積みあげたが、自己ワーストの9敗を喫した。苦しい中でもあえて前向きで強い言葉を発するのが戸郷流。「負けて記者さんに話せないぐらいの精神力だったらダメ。投げている最中にも頭を整理して、その中ですぐに答えを導かないといけない」。時に厳しい言葉も飛んだが受け止めた。
CSへ向け「よりいい投球を続けていけたら」と結んだ背番号20。チームとしても、自身としてもこのままでは終われない。(水上 智恵)
【山崎伊織】 CS第1ステージを見据えて調整登板し、先発で2回2安打無失点。「もう少し調整していきたい。日本一に向けて、まず横浜倒さないといけないので、気持ちを入れた自分らしい投球とチームが乗っていけるような姿で投げたい」
【村田真一Point】 戸郷は何とか3回を無失点で切り抜けたけど、ストライクとボールがハッキリしすぎ。フォークボールがワンバウンドするのはいいんやけれど、それはベース盤と捕手の間でバウンドしなきゃいかん。ベースの前で落ちていては、バッターは振ってくれへんよ。
山崎も制球、球威ともにいまいちで、良くないなりに0点に抑えたというところ。それでも山崎と戸郷、この2人がCSの軸になるしかないんやから。11日までの間に少し休んで、それから気持ちを作り直して。まずはDeNAを抑えてくれることを祈るばかりやね。(スポーツ報知評論家・村田 真一)