26年ミラノ・コルティナ五輪シーズンの本格的な幕開けとなるフィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズに臨む男女シングルの日本勢が1日、都内で記者会見。今季限りでの現役引退を表明している女子のエース・坂本花織(25)=シスメックス=が3大会連続代表入りを目指す集大成の五輪のテーマに「総括」と掲げた。

悲願の金メダル獲得へ、「やる気スイッチはバリバリ入っている」と闘志を燃やした。坂本は第1戦・フランス大会(18日開幕・アンジェ)と第4戦・NHK杯(11月7日開幕・大阪)に出場する。

 元気印の坂本らしく、「やる気スイッチはバリバリ入っている。現役ラストシーズンを全力でやっていきたい」と意気込んだ。

 18年平昌五輪は個人6位、22年北京で個人で銅、団体で銀メダルを獲得。集大成のミラノで最高の結末は金メダルだ。壁となるのがウクライナ侵攻で国際舞台から除外されていた強敵のロシア選手だ。4回転などを武器とする18歳のペトロシャンが出場枠を獲得。ここまで得意の4回転こそ封印しているが、坂本はお見通し。「若い、動きが。本戦でガンガン跳んでくるのは丸見え。こちらも覚悟を決めて挑んでいきたい」とドンと構えた。

 4歳から始めた競技者生活は22年目。現役最後のシーズンのテーマは「総括」だ。「最終形態という感じ。しっかり練習を積んで結果を積み重ねていけば、自分の思っている総括になる」。ラスト五輪の目標は「団体と個人で銀メダル以上」だ。

 今季初戦となった9月の木下グループ杯では、納得のいかない内容で2位。「やる気スイッチが入った」と、6月からフルタイムで利用できるようになった所属先のリンクで猛練習を積んでいる。中野園子コーチから「こんなに追い込んで『苦しい』と言ってられるのも、最後よ!」とゲキが飛ぶと言う。坂本は「めっちゃビシバシ、しごかれています」と豪快に笑った。

 国内ではスロースタートとなった五輪シーズン。GP初戦のフランス大会で「フランスから『今年いいじゃん』と言われたい」とペースアップを誓う。GPシリーズの上位6人に入り、12月のGPファイナル(名古屋)、最終選考会の全日本選手権(東京)と大舞台が続く。

「刻一刻と、最後が近づいてきている。どの試合も、最後にこれでやりきったと思える演技をやりたい」と坂本。集大成のミラノへカウントダウンを打った。(大谷 翔太)

 ◆フィギュアスケートミラノ五輪への道 男女シングルは3枠、ペア2枠、アイスダンスは1枠(団体)を争う。全日本選手権(12月、東京)が最終選考で、男女シングルは優勝すれば代表に内定。2人目は全日本で2位、3位、グランプリファイナル(12月、名古屋)の日本勢上位2人、国際スケート連盟公認のシーズン得点上位3人から選ぶ。3人目は、世界ランクや日本連盟独自の国際大会ポイントの上位3人などを総合的に判断する。

 ◆ロシア勢のミラノ五輪参加 昨夏パリ五輪に続き、ウクライナに侵攻したロシアと同盟国ベラルーシの選手は中立選手(AIN)として参加する。フィギュアスケートの五輪最終予選でシングルは男子がグメンニク(23)、女子はペトロシャン=写真、AP=が制し男女1人ずつが出場枠を獲得。団体競技の参加は認められていない。22年北京五輪女子シングルはロシア五輪委員会選手として出場したシェルバコワが金、トルソワが銀、坂本が銅メダルだった。

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