虎党の熱狂で聖地が揺れた。阪神・佐藤輝は放物線の行方を見つめ、両手を広げて快挙をかみしめた。
「平常心を保とうと頑張っていましたけど(笑)。ホッとしています」。初回の先制左犠飛でシーズン100打点に到達。阪神でプロ生活をスタートした選手に限れば、1985年の掛布雅之(スポーツ報知評論家)以来、40年ぶりの40本塁打&100打点を成し遂げた。「ここまでこられて周りの人に感謝したいです」と喜びをかみしめた。
尊敬してやまない今季限りで現役を引退する原口にも、感謝の思いを体現することができた。試合後の引退セレモニー。先輩が紡ぐ言葉に耳を傾け、後輩は目に涙を浮かべた。
大台到達を後押しするため、打順を4番から1つ上の3番で起用した藤川監督は「ファンの方も喜ばしい一日になったんじゃないですか」と頬を緩めた。V奪還の今季を象徴するような本塁打、打点の2冠を確実にしている主砲の躍動で、85勝54敗4分けでフィニッシュ。15日に始まるCS最終ステージに向け、大きく弾みがつく一勝だった。(中野 雄太)
阪神・掛布雅之OB会長「40本塁打&102打点は優勝チームの4番打者として胸を張れる素晴らしい数字だ。技術的には踏み込む右足の使い方がうまくなり、腰をレベルに回転できるようなったのが大きい。昨季までは調子の波が激しかったが、三塁の守備力が向上したこともあり、一年を通じて精神的に落ち着いてプレーできていた。39本と40本とでは、打率2割9分9厘と3割ぐらいの差がある。ホームラン打者としての勲章で、今後の野球人生の大きな自信になるはず。今から来年の成績が楽しみだし、大切な年になる。この数字を土台にして、球史に残る強打者としてさらに成長してほしい。