馬トク報知で過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】。今回はテーオーケインズが勝った21年のアンタレスSを取り上げる。

この後に帝王賞、チャンピオンズCを圧勝し、同年の最優秀ダート馬へつながる第一歩となる重賞初制覇だった。

 最後まで余裕があった。テーオーケインズはやや出負けする形となったが、中団馬群で徐々に外へ持ち出しながらの追走。4角で先団に取りつくと、松若は直線なかばまで持ったままで先頭へ並びかける。ラスト1ハロン過ぎに左ステッキを1発、2発。それで十分だった。ゴール前はびっしりと追うことなく、2着との差は1馬身4分の3。「動くのが少し早いかなと思いましたが、馬を信じて乗りました。改めて能力の高さを感じました」。初コンビでタイトルへ導いた松若はパートナーをたたえた。

 前年8月に栗東で隣の厩舎で火災が起き、その影響で出走取り消しとなるアクシデント。秋からの復帰戦となったが、条件戦から一歩ずつ成績を積み重ね、ようやく初タイトルをつかんだ。

開業4年目になる高柳大調教師にとってもJRA重賞初制覇。「実感はないですけど、うれしいですね」と笑みを浮かべた。

 ただ、ここはまだ通過点だった。「今後は行けるなら、帝王賞に行きたい。精神的に大人になってきたし、まだまだ伸びしろはある」。トレーナーの見立て通りの覚醒の1年はここから始まった。続く帝王賞では2着に3馬身差をつける完勝で初のビッグタイトルをつかむと、秋にはチャンピオンズCでは1頭だけ次元の違う走りで6馬身差の圧勝。同年の最優秀ダート馬のタイトルを引き寄せるなど、押しも押されもせぬダート界の“帝王”に君臨した。

 その後、2022年のJBCクラシックも制し、2023年のチャンピオンズC(4着)を最後に現役引退。現在は北海道アロースタッドで種牡馬として暮らしており、来年にもデビューとなる子供たちの活躍を待っている。

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