日常的に警戒しているはずの不審メッセージに、なぜ人は引っかかるのか。クロスアイディ株式会社が実施した調査によると、過去1年で不審なメールやSMS、電話を受け取った経験がある人は57%にのぼり、もはや特別な出来事ではなくなっている。

特に年齢が上がるほど受信頻度は増え、60代では「何度もある」が51%と、20代の倍以上に達した。

 注目すべきは、意識と行動のねじれだ。URL付きメッセージに対して「クリックしない」と答えた人は87%にのぼる一方、実際にクリックした経験がある人は24%存在する。さらに、そのうち約32%がログイン情報や個人情報などを入力しており、結果として被害につながりかねない行動が一定数確認された。

 不安の中身を見ていくと、「フィッシング詐欺が怖い」(52%)に加え、「本物かどうか分からない」(44%)という回答が目立つ。つまり問題は単なる注意不足ではなく、正規の通知と偽装の見分けが難しい構造にある。メールやSMSという既存のデジタル手段そのものへの不信感が広がっているとも言える。

 その影響は受け取り手段の選好にも表れている。重要な通知の受け取り方法として最も多かったのは「郵送」(42%)で、デジタルよりも確実性を優先する傾向が浮かび上がった。一方で、「公式アプリ」や「専用アプリ」も一定の支持を集めており、安全性が担保されたデジタル手段への期待も残る。

 デジタル化が進むほど、利便性と引き換えに真偽の判断は個人に委ねられる。今回の調査は、その負担が限界に近づきつつある現状を示している。

対策は個々の注意喚起だけでなく、仕組みとして「疑わなくて済む通知」をどう実装するかに移りつつある。

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