1977年から本紙の詰将棋連載を担当している伊藤果八段が20日、東京・渋谷区の将棋会館で行われた「第53回将棋大賞表彰式・昇段者免状授与式」に出席した。

 新戦法や新手などを表彰する升田幸三賞を受賞。

飛車や玉を風車のように動かして相手の攻めを受け流す「風車」(かざぐるま)。「風車は元々相手を攻め潰すような戦法ではなくて、じっと耐える」と説明。32年越しの受賞については「升田幸三賞の歴史の中で言えば、じっとしている指し方は他に類がない。なかなか選定しにくかったんじゃないかな。地味な戦法だから」。受賞のタイミングについては「現役の時にいただければ…」と笑ったが「生きている間にもらえて良かった。待っていたかいがあった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 発表は4月1日。受賞は遠山雄亮六段からのLINEで知らされたが「当人は戸惑って、これはエイプリールフールだから冗談だと」。「電話で話すことほとんどないけど、その時だけ真実を確かめるために5分後に電話をかけた。山ピー(遠山さん)に電話かけたら『先生おめでとうございます』と言われて、『本当なの?』というくらい興奮した」と振り返った。

 周囲からは「皆さん喜んでくれた。

一番最初に西山(朋佳)さんからLINEが入りました」と反響。「AIのない時代に考えられて、すばらしい」(久保利明九段)、「今AIがやっている作戦を40年前にやっているのはビックリ」(飯島栄治八段)などの声があったという。

 授賞式に出席するのは東京記者会賞を受賞した第46回に続き、この日が2回目。藤井聡太六冠、伊藤匠二冠に続いて名前を呼ばれ「こんなランクが上とは思っていなくて、こんなにえらいのかとビックリした。そのおかげで(2人と)少し話せたのはありがたかった」と振り返っていた。

 升田幸三賞選考委員は、伊藤の受賞理由について「当時は中飛車の戦法だったけど、現在では雁木、右玉でも有力な戦法。最近の公式戦でも糸谷哲郎九段や藤本渚七段などに採用されて、古い戦法でありながら現代将棋にもエッセンスが受け継がれているところが決め手となった」と説明した。

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