日本代表のMF堂安律(28)=フランクフルト=は、W杯優勝に向けて「エゴ不要論」を強調。かつては強いエゴイズム(自己中心的)を放っていた背番号10の変化を、G大阪時代(2015年加入)から取材する金川誉記者が「見た」。

 「W杯はエゴを出す大会じゃないことは、選手が認識している。それをしたいヤツは、大会が終わってからしてくれ、と」

 オランダ、チュニジア戦と2試合連続で先発した堂安は、次戦スウェーデン戦でのローテーションの可能性を問われ、そう言い切った。言葉の端々から、チームの勝利にすべてをささげる覚悟が伝わってくる。

 スウェーデン戦は、一部の選手入れ替えが予想される。堂安とてベンチスタートの可能性は否定できない。新戦力が「ここで力をアピールしたい」とギラつくのは当然の舞台だ。かつての堂安も、まさにその塊だった。欧州や日本代表で生き残るために得点という結果だけを求め「どれだけ批判されても、点取ったら終わりでしょ」と語っていた若手時代。しかし、その思いが強すぎるあまり、ベンチスタートとなった際にチームの勝利に貢献する気持ちが見えないと森保監督に判断され、代表から外れた時期もあった。

 しかし堂安は変わった。今大会、右ウィングバックに入った堂安は、泥臭くタフな守備でチームを支える。背番号10が見せるその献身性に、長友も心を突き動かされていた。

 「彼も点を取りたいはずなんですよ。でも体を張って守備をして、忠誠心を持ってチームのためにやる姿を見て、僕らも勇気づけられている。10番がやるんですよ、あのプレーを。彼には絶対いつか、チャンスの時にボールがこぼれてきて、全てを持っていくんでしょう。それが堂安律だと」

 ただ、ゴールへの意志を失ったわけでは決してない。堂安は言う。

 「点を取れる確信はなぜかある。ただ、今は自分のゴールよりもチームの勝利。自分のゴールが必要な時が来ると思っていますし、必ずこぼれてくるという謎の確信はあるので、全く心配はしてません」

 かつては強烈なエゴで自身を押し上げた男が、今は違った力に突き動かされている。

 「勝利にこれほど飢えていることは、今までのサッカー人生でもなかった。勝ちたいですね」

 独善的なエゴをチームの推進力へと変えた背番号10。ぎらぎらとした勝利への欲は、今、さらに高まるばかりだ。

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