◆テニス ▽全米オープン予選最終日(27日、米国・ニューヨーク)

 【ニューヨーク27日=吉松忠弘】日本男子で最も将来を期待される逸材で、元ジュニア世界王者の坂本怜(IMG)が、ついに錦織圭と戦うときがやってきた。ツアー大会3度の決勝進出で1度の優勝がある元世界ランキング38位のアレクサンドル・ミュレ(フランス)に、最速時速218キロのサーブをぶち込み、ストレートで快勝。

錦織の結果が出る前に、予選決勝で待ち構えた。

 6歳で「錦織選手に憧れてテニスを始めた。今度は自分が夢を見させる選手になりたい」という坂本は、錦織と同じ道を歩む。2022年に、錦織と同様、盛田正明テニス基金の支援を受け、15歳でIMGアカデミーに留学した。

 その坂本が、最初に注目を浴びたのが、2024年全豪のジュニア部門で優勝したときだ。先輩、錦織でさえかなわなかった4大大会ジュニア部門でのシングルス優勝。身長195センチでサーブをたたき込むスタイルは、日本人には少ない大型新人の登場だった。

 しかし、それ以上に、誰もがあっけにとられたのが、彼のビッグマウスと異端児ぶりだった。Z世代ど真ん中。優勝会見は、ちょっとした語りぐさになっている。優勝の感想を聞けば、「ラケットが試合中に優勝してくれって話してくる」と答え、報道陣は目が点。身長をたずねれば「生まれてから伸び続けて2メートル82センチ」と、けむに巻いた。

 後から聞けば、優勝で精神的にもパニック状態。頭は真っ白で、まともな心理状態ではなかったという。盛田正明テニス基金の派遣で、当時、坂本を指導して広岡竜治コーチは「本当は気が小さいんです」と話した。それまでは、日本人離れした体格にもかかわらず、粘りのテニスで、リスクを取らなかったという。

 しかし、2023年末に、一般のツアー下部大会に挑戦したときに、その守りのプレーでは通用しないことを思い知る。サーブを生かした攻めるテニスにスタイルを変え、24年全豪ジュニア優勝という快挙につなげたのだ。

 今年の全豪では、予選を勝ち上がり、初めて4大大会本戦に出場。昨年末からイタリア人のコーチを迎え、「死ぬかと思った」というほど、オフシーズンに積んだトレーニングが結果につながった。相変わらずの坂本節は健在で、「まあ見ててください。その内、天下取りますから」とほえた。

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