歌舞伎俳優の市川團十郎が18日、自身の襲名披露の軌跡を記録したドキュメンタリー映画「襲名」(三池崇史監督、25日公開)の大ヒット祈願イベントを東京・江東区の成田山東京別院深川不動堂で行った。

 2022年の襲名披露興行に迫った記録映画で、このほどイタリアで閉幕した第83回ベネチア国際映画祭の独立賞「Cinema&Arts Award」を受賞。

長男の市川新之助、三池監督とともに護摩での祈願を受けた團十郎は「炎の熱を受け不道明王の力を得て、新しい世界への一歩を踏み出してくれたらいいなと思いながら祈願を受けました」と話した。

 ベネチアでのスタンディングオベーションを振り返り「よく『感動の』『拍手鳴りやまず』というニュースを見て『そんなわけねえだろ』と思っていたんですよ」と本音を告白。「ですが、ベネチアでは映画をリスペクトし、映画への情熱、熱量が普通ではない。5分間(の拍手)をリアルに目の当たりにして、こういう当にこういう世界があると見せてもらったことを感謝している」と語った。

 三池監督は「驚きを持っているのは、一度もチェックなしだった」と、團十郎が作品の中身に口を出して来なかったことに感激したという。「幼いとき(の映像)とか、見られたくないところもあるはず。普通だとワンシーンワンカット『ああじゃない』となるなかでまったくノーチェック。『監督がよければそれで』だった。音楽も全部付けて完成したあとに『なにがあっても怒らないでくださいね』って冗談で言いましたが、本来はありえないこと」と賛辞を送った。

 團十郎は「多少ヒヤヒヤしましたが…」と苦笑しつつ「最終的に三池崇史という監督でなければ、最後の押し方はできない」と全幅の信頼を置いていた様子。新之助も「2回見させて頂きましたが、終盤は本当に普通の映画では絶対に見られないシーンだと思います」と胸を張った。

 「襲名」という文化について、團十郎は「父が持っていた技術は、私が0歳で生まれた瞬間には受け継げていない。

AIはそういうことがどんどん受け継がれていくなかで、襲名世襲というものはその自由度狭めた中で伝承を受け継ぎ蓄積していく作業」と時間も手間もかかることであると説明。「十二代目團十郎が持っていたデータ、伝統文化を更新し続けて、なんとか父に並び次の人に渡すこと。日本固有の文化を守ることは責務だと感じています」と語った。

編集部おすすめ