◆テニス ▽木下グループ・ジャパン・オープン第2日(1日、東京・有明コロシアム)

 今大会を最後に現役を引退する錦織圭(ユニクロ)が、第2シードで世界ランキング8位のフランシス・ティアフォー(米国)に敗れた。現役ラストマッチとなりコート上では涙を流したが、会見は錦織らしく笑いに始まり、笑いに終わる和やかなものだった。

 以下、会見での一問一答。

 ―試合を振り返っていただいけますか。

 「え~…う~ん、試合…? う~ん、そんなに、やっぱり良くなかったんでね。そこは悔しさは残りますし。サーブの入りとリターンと、ストローク戦も。リズムが合わない場面が多くて、自分がミスヒットしたりっていうのがまだまだ多かったですね」

 ―終わった瞬間の気持ち。

 「終わった瞬間はそんなでもなかったですけど、あのベンチで座ってる時に、この20年、30年こうやってきた、積み上げてきた財産みたいな、銀行に大量にお金が入ってたのに、急になくなってゼロになっちゃうような喪失感みたいなのがブワーってこう襲ってきて。正確には別に、この知識とか、いろんな経験とか得たものを誰かに共有したりコーチしたりっていうことはできるので、実質ゼロになるわけではないんですけど、やっぱり自分のテニス人生で、本気でプレーするっていうことに関して終わりなのかっていう。普通の、大半の人は人生の最後まで、自分がいろんなキャリアを積み上げてきて、最終的に早く花を咲かせる人もいるでしょうし、40、50でさらに上に行く人もいるだろうし。それが36で1回終わるんだなっていうのが。ここまで苦労して頑張ってきたものを手放すのか、っていうのがあった。プラス、ちょっと今日の内容じゃ終われないなっていうのが大きいですかね」

 ―テニスはどんなものか。

 「ここまで本当に一本のことに、全人生、いろんなことをはねのけて、一本ここまで努力できたっていうことは、自分でも誇りに思う部分もあります。遠いアメリカまで行って。正直、別に好きでもないアメリカに行って。テニスのために。全てテニス人生のために注いできたっていうのは、自分ではいい選択ができたなって思うので。もちろん、やっぱりけがが多かったので、そこをどうにかできなかったかなっていう後悔はたくさんありますし、どうにか勝てた、もう1試合勝っていればもっと人生変わったみたいな試合もたくさんあった。後悔のある部分は探せばいっぱい出てきますけど、まあそれでもよく頑張ったなっていう思いは強くあります」

 ―悔しい、とのコメントがあった。ボールが取れないなど感じるところはあったのか。

 「正直、もうちょっとやってもいいかな?っていうのはちょっと今出てきてるんですよ。絶対やんないですけど。昔だったら簡単に取れてディフェンスのボールをオフェンスにできるぐらいの動きはありましたし、サーブやリターンが入らないとか、細かい部分が今まだ戻ってきてないので、正直、結構簡単に丸め込まれたと思う。自分の理想のテニスが頭の中にある中で、すごく内容的には悔しい試合でした。

もうちょっとプレーしたいっていうのは本音ではありますけど、どうしても体と気持ちの忍耐力みたいなのは、たぶん追いついてこないのでやらないんですけど。ちょっと年末のチャレンジャー(大会出場)考えようかな」

 ―負けず嫌いが生きたところ。

 「20代の頃よりは落ち着いてきてはいる。20代の頃は年2回ぐらい試合に負けて泣いてた。そのぐらい、悔しい試合はツアーファイナルとかも負けて部屋で号泣したりしてたんで。いい大人が。そういう悔しさは常にありましたし、そのおかげで、反動を使って練習頑張ったり、諦めずに試合したりっていうのは、すごく助けられたと思います。今も若干薄れはしましたけど、試合に負けての、いい意味では冷静に試合内容を振り返ったり、そこまでアップダウンがなくなってきたのは、年齢のおかげもある。そこは30代になって変わってきたところ。今日も最後の試合なのにトップ10ぐらいに悔しい終わり方でした」

 ―また泣いちゃう話で申し訳ないですけど。

 「もう泣かないです」

 ―泣いた自分に驚いたのか、自分もやっぱり最後は泣くのかなって感じたのか。

 「全く泣くとも思ってなかったですし、全米オープンとか試合が終わった後も晴れやかな気持ちというか。

ちょっと危なかったのは、今朝センターコートで練習して、入った時に、ドリカムの曲が流れてて、それで(涙が)ちょっと一滴ぐらい垂れそうな。今日が最後になるのかっていう可能性もあった中で、ちょっと思いはきてたんですけど。試合前もそんなにすごい緊張があるわけでもなく、1つの試合として臨めてたので思いが強かったわけではないんですけど、やっぱり急に試合終わってからですね。特に修造さんのせいなんですけど、修造さんがむちゃくちゃ泣いてたんで、それも、もらい泣きしましたね。修造さんが最初に育ててくれたっていうのもあったし、お世話になってるのもあるし。もちろん修造さんの前にもあの道をつくってくれた方はいますけど、僕にとって最初は修造さんから自分のキャリアがスタートしたようなものなので。修造さんのせいで涙は加速しました」

 ―エキシビションのような形でプレーを見るチャンスはあるか。

 「自分でもちょっと早いなとは思うんですけど、まあ1週間後(11日)にもあるし、12月にもあるんで。どんだけシングルで真面目にやるって言っても、やっぱり緊張感は比じゃないですし、全力でやりますけど、全力でやるわけではないんで。そこは気持ち的には違いますよね。まあテニスを楽しむっていう面ではちょくちょくやるかもしれないですけど。そうか、でも、まだできますもんね」

 ―20年前と比べてアジア勢の変化。

 「ランキング的に、人数的にはそんなに変わったわけではないかなとは思っちゃいますけど。中国人の強い選手がたくさんいるのは、特に上の3人とかはトップ30にいてもおかしくないような選手たちなので、そこには頑張ってほしい、いける可能性はあるかなと思っています。どうしても、アジアって、どうしても、もうどこをとってもやっぱり劣勢というか。レベルもヨーロッパに比べたら低い。トラベル(移動)も時間はかかる、時差もある。練習相手、練習コートだったり。テニスコートも日本は少なくなっている。コーチの量、質も違う。なので、あんまりいいところが、特に日本もアジアの周辺もそこが難しいかなとは思う。どうしても今の状況だと外に出るしかないのかなとはちょっと思っちゃいますね。そこを何かできればいいなとは思いますけど、なかなか簡単に、数年でどうこうっていう話ではないと思うので、ちょっと難しいそうだなとはずっと思ってます。自分がちょっと悲しいのは、自分がトップ10にいた時に、後ろでついてくる選手が、西岡君とかいましたけど、ちょっと少なかったなっていう悲しさは正直あります」

 ―自身の理想のテニスとは離れていた。

 「この何日間か、毎日良くはなってきてたんですけど、やっぱり試合となると。今日は急に(屋根が開いて)外にもなりましたし。リターンもミス多かったし、サーブももうちょっとファーストが入ってくれればっていうところと、ラリーになった時にまだ自信がないから(ラケットを)振れないし、振ったらミスするし、悪循環になり、足も動いてくれなかったのが最後の方まであった。いいショットもありましたけど、なかなか自分のいい感覚は最後まで戻ってこなかったです」

 ―あえて1つ、自分になかったもの、これができたら、というものを挙げるとしたら。

 「一番はもうちょっと、あと5センチぐらい背が高かったら。僕のこの身長(178センチ)でトップに行った人って数えるぐらいしかいないので。特に今パワープレーにもなってきて、この体で強打すると負担はかかる。小さい選手でもやっぱりこう、どうにか工夫すれば勝てるのがテニスですし、そこが面白さの一つではあるんですけど。ちょっと、どうしようかな。一個言っていいですか。なんかルールを変えるなら、背が180以下の選手は2、3歩前からサーブして、AIの工夫で、なんか打ったらシュンってベースラインまで戻って、サーブ打ったら後ろ戻ってる、みたいなのができれば一番いいかなって」

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