◆プロボクシング ▽東日本新人王ミドル級(72・5キロ以下)決勝5回戦 〇筒井ちび太(5回TKO)岡村弥徳●(11月3日、東京・後楽園ホール)

 東日本新人王ミドル級決勝で、筒井ちび太(23)=パンチアウト=が岡村弥徳(28)=八王子中屋=を5回31秒TKOで下し、東日本新人王に輝いた。初回に右フックでダウンを奪うと、5回に連打を浴びせてレフェリーストップに持ち込んだ。

 勝利を決めるとロープに飛び乗ってアピール。リング上では、観客の「ちび太」コールに合わせてコミカルなステップを踏む「ちび太ダンス」も披露した。

 ただ、狙っていたのは最優秀選手賞(MVP)。「MVPを取りたくて、倒したかった。もちろん、これ(賞金)です。シューズをオーダーしたいなと思っていたんですけど…。MVPでも敢闘賞でも技能賞でもなくて、僕、トーク賞ですかね」とがっくり。「ダウンを取ってから狙いすぎて硬くなっちゃって、倒せなかった」と序盤からKOを狙いすぎた反省を口にし、「狙って倒しにいくんじゃなくて、いつもの自分のボクシングをすることが倒せることにもつながる。教訓になりました」とうなずいた。

 普段は地元の千葉・市川市にある「上田医院」で介護のアルバイトをしている。そこで高齢者と接し、人生の最終章を目の当たりにしてきた。「どんなにすごかった人でも、最後はお金を自分で使えなかったりする。

死生観が変わった。本当に楽しいことを今やらないともったいない」。一度は引退したボクシングに戻ったのも、後悔したくなかったからだ。「本当にボクシングが大好き。好きなことを前向きにやっているだけで、みんなに褒められて。今年はすごく幸せな1年でした」。子供たちにも「本当に好きなことを突き詰めればいいんだぞ」と伝えたいという。

 異色のキャリアを持つ。身長175センチながら、ヘビー級選手としてデビューした。昨年、1000万円の優勝賞金を懸けたヘビー級トーナメントでプロデビュー。ジャンクフードで無理矢理90キロまで増量し、出場選手の中でも圧倒的に小柄ながら1回TKO勝ちで初戦を突破。2回戦で敗退したが、デビューから3戦をヘビー級で戦った。

4戦目からミドル級に転向し、東日本新人王の称号を手にした。

 10月10日に行われた東日本新人王決勝進出者の会見ではただ一人、ノージャケットで登場。「スーツを買ってくれる方がいたら連絡してください」と“おねだり”して話題となった。決勝前日(2日)の計量には、ジムの後援者から贈られたタキシード柄のTシャツで登場。ユーモアあふれる話題を振りまいてきたが、実力も本物だ。

 全日本新人王を獲得した後は、スーパーウエルター級への転向を視野に入れる。さらには来年開催が計画されるウエルター級の賞金1000万円トーナメントへの参戦にも「ちょっと考えています」と意欲を見せた。

 「勝ったらリング上で『こういうこと言ったらウケるぞ』とか考えていたが、マイクを握ったら何を考えていたか全部忘れちゃいました。そういうこと考えてるから倒せないですね(笑)」。リングでは拳で、リング外では言葉で観客を魅了する。筒井ちび太は、まだまだ面白くなりそうだ。

 戦績は筒井が3勝(3KO)1敗1分け、岡村が4勝(1KO)4敗。

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